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【芸能・社会】亀治郎改め猿之助「命捨てる」 香川改め市川中車「生涯精進」2012年6月6日 紙面から 「歌舞伎のために命を捨てる覚悟です」。歌舞伎俳優の市川亀治郎(36)が4代目市川猿之助を襲名する披露興行が5日、東京・新橋演舞場で初日の幕を開け、「口上」で並々ならない決意を表明した。また、いとこで俳優の香川照之(46)・政明(8)親子が、それぞれ9代目市川中車、5代目市川団子として歌舞伎デビュー。数々の人気舞台を作り上げてきた猿之助あらため2代目市川猿翁(72)は、療養中の身ながら裃(かみしも)姿で「口上」に連なり、長年のファンの涙を誘った。 ◇ 襲名・初舞台の4人をはじめ澤瀉屋(おもだかや)の一門ら16人がズラリと顔をそろえた昼の部「口上」。4人の中で最初に襲名口上を述べた新・猿之助は「きょうの襲名を受けて、うれしさ100%でございます」と言い切り、大歓声を浴びた。 襲名前には、慣れ親しんだ亀治郎の名前への未練も口にした新・猿之助だが、スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の原作者で哲学者の梅原猛氏からニーチェの“運命愛”を紹介されたエピソードを披露。「尊敬する先生から『外から降りかかった運命を、さも自分が欲したかのように愛するのが運命愛。その運命愛に従って生きなくちゃいかん』と言われた」と決意の背景を説明。「歌舞伎のために命を捨てる覚悟」と強調した。 新・猿之助と中車は夜の部「ヤマトタケル」で初共演。開演時に2人で再び口上を述べた。 スーパー歌舞伎初主演となる新・猿之助は「襲名公演でスーパー歌舞伎をやりたいと言ったら、すぐに不可能と言われた。しかし前例がなければ作ればいいというのが私のモットー。不可能を可能にするのが澤瀉屋。3代目はスーパー歌舞伎の創始者。本当にあこがれの役だった」と興行の舞台裏を明かしながら、思い入れの強さをにじませた。 昼は「義経千本桜」、夜は「ヤマトタケル」と、古典歌舞伎とスーパー歌舞伎を1日で演じる初の試みにも新・猿之助は「スーパー歌舞伎は今や立派な古典になった」とキッパリ。 歌手の福山雅治(42)から贈られた祝幕で福山の提案を受け、曽祖父、祖父、自分の隈(くま)取りを重ねたデザインのエピソードにも触れ「今まで見たことのない隈取りが浮かび上がった。代々命や血を注ぎ込んで厚みを増し、今まで見たことのない役者像が浮かび上がる。これが襲名の意味。私も猿之助の名前に少しでも厚みを増したい」と決意を示した。 中車に対して新・猿之助は「まだまだピカピカの1年生。この年から歌舞伎役者になる人はなかなかいないが、前例がなければ作ればいい」とエール。中車は父の三代目猿之助が46歳で初演した「ヤマトタケル」に同じ年齢で同じ舞台に立つことに「ゆめゆめ思っていなかった。本当にありがたい」と話した。 「ヤマトタケル」で新・猿之助の父親役の帝を演じる中車は冒頭から息の合った舞台を披露。終盤ではワカタケル役の団子が、「大和の国のため、力を尽くして励んで参ります。お父様、どうかお見守り下さい」と、今の境遇と重なるセリフをしっかり話し、感動を呼んだ。 幕切れには、新・猿之助が「天翔(か)ける心、それがこの私だ」という名セリフを言って、盛大な拍手に包まれながら高々と宙乗りを披露。伯父の魂をしっかり受け継いで、澤瀉屋の新時代の幕開けを飾った。 公演は29日まで、7月4−29日も襲名披露公演の後、来年各地の劇場を回る。 ◇ 俳優の香川照之(46)が5日、東京・新橋演舞場で9代目市川中車を襲名。昼の部最初の舞台「小栗栖の長兵衛」で主人公の長兵衛を演じ、歌舞伎俳優の第1歩を踏み出した。風邪気味で体調万全ではなかったが、歌舞伎初挑戦を感じさせない自然な演技で観客を沸かせた。 初代市川猿翁が演じて以来、澤瀉屋(おもだかや)ゆかりの演目。初代猿翁の映像を見て猛稽古に励んだ中車は、開演から約20分後に登場。一番の見どころとなる酔って暴れ回る場面では、皿を割ったり長いすを持ち上げて何度も振り回すなどの大立ち回りをリアルに演じ、大きな拍手に包まれた。 この日は香川の高校時代の同級生らで構成する後援会のメンバーたちも多数駆けつけた。メンバーの1人は「ゆうべ電話で話したときに『大丈夫。自信はある』と話していた。他の俳優と遜色なくて、想像していた以上に良かった。華があった」と絶賛。「今回は分かりやすい演目だったけど、今後は難しい古典歌舞伎などに挑戦した時にどうなるか。頑張ってほしい」と課題を挙げながらエールを送っていた。 3代目猿之助ファンが大勢詰めかけた客席も、温かく迎えるムードで、幕が下りると大きな拍手がわき起こり、中車をもり立てた。 「口上」では、「感無量の思い」と心境を明かし、「生涯を懸けて精進し、9代目中車を名乗らせていただく責任を果たして参りたい」と述べ、感極まった表情を見せた。長男の政明君(8)は市川団子を名乗り、「猿翁のおじいさまより立派な俳優になることが私の夢でございます」とあいさつして会場を沸かせた。親子の険しい道が、いよいよ本番を迎えた。 PR情報
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