千葉・大原漁港にイワシ大量漂着 付近でも類似ケース相次ぐ
千葉・いすみ市の漁港に3日、大量のイワシが打ちあげられているのが見つかり、イワシの回収作業が行われている。こうした中、付近の漁港でもイワシが打ちあげられる現象が相次いでいたことがわかった。
漁師は「(漁師生活)50年近くなるのかな。こんなの初めて」と話した。
千葉・いすみ市にある大原漁港に3日、大量のカタクチイワシが漂着しているのを、地元の人などが発見した。
漁師は「きのうは岸壁にあがったので100トンだったから、その倍くらいいるんじゃないの?」と話した。
4日、漁協関係者など120人態勢で回収作業を行ったが間に合わず、5日も早朝から作業が再開された。
網ですくい、重機で掘った穴に埋めているが、水面に浮かぶイワシの数は、一向に減っているようには見えない。
回収作業が進められているが、海底に沈んだイワシが次から次へと浮かんできているため、回収作業は難航している。
水面では、イワシの死骸が次々と海面に浮かび上がってきていた。
漁師によると、これは死骸から発生したガスによるもので、岸壁から見えている以上に、多くのイワシが海底に沈んでいるとみられている。
イワシは一気に漁港に入り込んで大量に酸素を消費したため、酸欠状態で死んだ可能性があるという。
なぜ、これほど大量のイワシが漂着したのか。
取材を進めると、今、房総半島の太平洋側で、同じような現象が相次いで報告されていることが明らかになった。
いすみ市の太東漁港でも、船を引き揚げるスロープに点々とイワシが打ちあがっている。
大原漁港から北におよそ8.5km離れた同じいすみ市の太東漁港。
この港にも3日、大量のイワシが入っていた。
4日夜、スーパーニュースのカメラが訪れると、波打ち際に数匹のイワシの死骸があった。
そして、波に押されて、イワシがどんどんあがってきていた。
打ちあげられたイワシは、体長10〜15cmほどだった。
取材中にも、数匹のイワシが波に押されて打ちあげられ、ピチピチと跳ねる様子をとらえることができた。
さらに漁港で働く男性は「この間、勝浦の方でも異常発生して、(イワシが)あがっちゃってました」と話した。
いすみ市に隣接する勝浦市や鴨川市の、少なくとも5つの漁港でも、イワシが押し寄せる現象が相次いでいることがわかった。
勝浦水産事務所の鈴木広之所長は「4月の初めごろに、勝浦市内の各小さな漁港の方に入る現象が見られまして、13日に松部漁港、16日に川津漁港で大量に(イワシが)打ちあがったようです」と語った。
また、鈴木所長は「最近、カタクチイワシを餌にしているサバ・ブリが増えつつありますので、(イワシが)追われて岸の方に近づいてきたと考えられる」と話した。
鴨川漁港に確認すると、例年4月ごろには旬が終わるブリの幼魚「イナダ」が、5月に入ってもまだ例年以上にとれ続けているという。
千葉県水産総合研究センターは、イワシをエサとするこうした魚やクジラなどに追われたイワシが、大量に漁港内に逃げ込んだ可能性があるとみている。