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3メガバンク、韓国に狙い 融資急増、獲得へ専門部署

2012.6.6 07:01更新

 三菱東京UFJ銀行など3メガバンクが、サムスン電子や現代自動車など韓国企業との取引拡大に動き出した。円高や電力不足に苦しむ日本企業に対し、海外投資を積極化させる韓国企業の旺盛な資金需要を取り込む狙いだ。各行は、専門部署を設けるなど舞台を韓国に移し、融資獲得争いを強めている。(橋本亮)

 ◆現地銀行と提携

 三菱東京UFJ銀行は、東京の本店とソウル支店に専門の部署を立ち上げ、韓国企業の海外進出計画の情報収集や営業活動を始めた。契約を結んだ企業に対し、進出先での工場建設資金を融資するなどの支援を展開する。

 三井住友銀行もすでに、ソウル支店に専門部署を設ける一方、東京、ロンドン、ニューヨークに加え、今年に入り、シンガポールにも担当の営業職員を置いた。海外支店網を活用し、進出してくる韓国企業への融資案件獲得を進める。

 みずほコーポレート銀行も、韓国など東アジアに特化した事業部門をつくり、担当役員を配置した。現地の銀行と提携し、海外に進出する韓国企業への協調融資などを手掛けている。

 ◆海外進出を支援

 東日本大震災や円高の影響で、海外での日本企業の存在感は低下し、価格競争力などで優位に立つ韓国企業が台頭してきている。韓国企業は、新興国を中心に生産拠点を相次いで新設しており、資金需要は高い。

 ただ、韓国の銀行は日本の銀行に比べて海外拠点が少なく、資金の調達力や海外での事業ノウハウにも乏しい。欧州危機で経営が悪化した欧州の銀行が韓国向け融資に慎重なこともあり、韓国企業にとっては、「邦銀との関係強化が不可欠」(三井住友銀国際統括部業務推進グループの加藤一樹グループ長)だ。

 ◆国内は低迷続く

 こうした中で、各行の韓国企業向け融資は急増している。三井住友銀は、平成23年度の韓国企業向け融資残高が約100億ドル(約7800億円)超で、5年前の3倍に膨らんだ。みずほコーポ銀も昨年9月から今年3月の半年間で、韓国企業向け融資残高が3割増えたという。

 今後、各行は融資拡大に向けて営業職員を増員し、営業拠点を拡充するほか、決済などの融資以外の金融サービスにも分野を広げる方針。国内企業の資金需要は低迷を続けており、「韓国企業をめぐる日本の銀行の顧客囲い込みは激しさを増す」(加藤グループ長)見通しだ。

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