社説:森本防衛相 普天間の現実見据えて

毎日新聞 2012年06月06日 02時31分

 野田佳彦首相は、内閣改造で拓殖大学大学院教授の森本敏氏を防衛相に起用した。防衛政策の責任者に民間人が就任するのは、防衛庁、防衛省を通じて初めてである。

 専門は外交・安全保障で、保守派の論客として知られる。野田内閣の防衛相は2代続けて資質が問われ問責決議を受けた。これに懲りて専門家の登用となったのだろう。

 安全保障の責任者に民間人を抜てきしたことに、野党や与党の一部から批判や疑問が出ている。その一つが文民統制(シビリアンコントロール)との関係だ。選挙の洗礼を受けない民間出身者に軍事問題の責任が負えるのか、という議論である。

 しかし、自衛隊の最高指揮官、軍事の最終決定者は首相であり、防衛予算や法律は国会で審議される。憲法は、閣僚は文民でなければならないと定めているだけで、民間人の防衛担当閣僚起用に問題はない。防衛相も国会議員が望ましいという問題提起は理解できるが、民間出身者という理由でただちに文民統制上、問題があるとは言えないだろう。

 また、森本氏が自公政権で防衛相補佐官を務め、インド洋からの自衛隊撤退など民主党の政策を批判していたことから、政権の政策との整合性を問う声もある。だが、野田政権の安保政策は自民党のそれに近づいている。一方、森本氏は、集団的自衛権の行使をめぐる持論を封印することを表明した。森本氏と政権の間に大きな溝があるとは思えない。

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