窪田順生の時事日想:菊地直子容疑者の潜伏先はオウムが“山”を買いにきた土地だった (3/3)
地元の猛烈な反対で話は流れたけど
おばあちゃんたちによると、彼らは当初、オウムだとは名乗らず、宗教施設を作りたいとやってきた。かなりの大金を積んだが結局、造林組合などの猛烈な反対にあってこの話は流れたらしい。
「もうずいぶん前の話だよ。上九一色村でサティアンとかってのを建てる前だし、まだぜんぜん有名じゃない時ね。この山(三井山)は低くて平らだから施設を建てるのにちょうどいいと思ったんじゃないの? 東京とかにも近いしねえ」
さらに話を聞いていると、おばあちゃんの1人が、菊地直子容疑者たちに部屋を貸していた家が実家だということが分かった。
「一昨年までは私の姪っ子があそこに住んでてね。もう出ていっちゃったから貸したって聞いてますよ。ただ、どんな人だとかは私はぜんぜん知らないから……」
さらに、もう1人のおばあちゃんもこんな話を披露してくれた。
「孫が『あのお姉ちゃんコンビニでよく会った』って言ってたわよ。若い人なんかは結構よく見かけてたみたいだよ」
おばあちゃんたちからキュウリとジャガイモを買って、再び現場へ行くとまだ家宅捜索をやっていた。
ヒマつぶしにテレビをつけると、オウム事件で名をあげた大物ジャーナリスト氏が、同居していた男性からプロポーズされ、「オウムの菊地です」と打ち明けていたので麻原死刑囚の呪縛から解放されている、と言っていた。
求婚された男とひっそりと潜伏生活を続けるため、都合のいいボロ家があった。たまたま、それはかつてオウムが施設を建てようとした山の近くだった。
まあ、17年も逃げ回っているのだから、そういうこともあるかもしれない。ただ、最近までもう1人の特別手配犯である高橋克也と会っていたという情報もある。本当に彼女はオウムと切れているのか明らかになるのはこれからだ。
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