窪田順生の時事日想:菊地直子容疑者の潜伏先はオウムが“山”を買いにきた土地だった (2/3)
オウムが狙っていた土地
「この先に峯の薬師っていうお寺があって、その近くに宗教団体がお寺みたいなのを建てているんですけどね、実はそこは昔、オウムも施設を建てようと狙っていたところなんですよ。だからもしかしたら、彼女もこのあたりの土地勘があるんじゃないかって……」
これまでの経験から、食い物屋だの、飲み屋だのの「地取り」は話半分に聞いておいた方がいいということはよく分かっている。客商売なので、つい“ごはん大盛り”の感覚で、話を盛ってしまうからだ。
しかし、あまりに自信たっぷりに言うもんだから、ちょっとその峯の薬師へ寄ってみることにした。
峯の薬師は津久井湖を見下ろす三井山頂にある古寺で、江戸時代には新井薬師、高尾山薬王院、日向薬師と並ぶ武相四大薬師と言われ、『姿三四郎』の決闘の舞台にもなった。何でも眼病を治すということで、地元の人はちょいちょいお参りにいくらしい。
言われた場所に行ってみると、確かに宗教施設はあった。津久井湖を見下ろす断崖絶壁にそびえており、どこか神々しい雰囲気を醸し出している。オウムが欲しがってもおかしくはない。
だけど都市伝説かなんかの類じゃないの……ということで、峯の薬師近くの県道で、野菜を売っていた近所のおばあちゃん2人に尋ねてみると、「あそこの土地をオウムが? 違う、違う」とかぶりをふる。やっぱりデマかと思ったら、意外な答えが返ってきた。
「オウムが施設を建てようとしたのは、この山全部だよ」
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