宮内庁の名川弘一皇室医務主管は5日深夜に記者会見し、入院中の寛仁(ともひと)さま(66)の症状について「急変や危篤という状況ではない」としながらも「腎臓、肝臓、肺の機能がかなり低下し、5日は尿が出ない状態」と説明した。意識レベルも低下し、4日は呼びかけにうなずくなどの反応をしていたが、5日には呼びかけに答えなくなり、強い刺激を与えたとき、嫌がるように体が少し動く程度という。
5日午後に記者会見した山本信一郎・宮内庁次長は、欧州出張中の長女彬子(あきこ)さま(30)が寛仁さまの体調を案じ、8日帰国の予定を切り上げて6日に帰国することを明らかにした。
名川氏によると、寛仁さまは1日に口や鼻から出血。口の中に血がたまった状態だったが、出血場所や原因ははっきりしないという。止血などの治療のため、赤血球や血小板の輸血を受けたという。
6月に入って臓器機能も低下しているが、原因は不明という。肺炎が認められ、呼吸機能が低下。肝臓の解毒作用も低下している。腎機能も低下し、4日から尿が減り始め、1日あたりの尿量が1日には計2千ミリリットル台あったが、5日午前以降は尿が出ていない。「無尿」状態が数十時間続くと腎不全の危険が高まるといい、尿を出すためドーパミン投与などの治療を受けているという。
血圧も下がり、5月下旬に120〜140程度あった最大血圧が5日には60台に下がった。苦痛を和らげるため鎮痛剤も投与しているという。
寛仁さまはがん関連で16回目の手術を3月に受け、東京都千代田区の佐々木研究所付属杏雲堂(きょううんどう)病院に入院中。5日は母の三笠宮妃百合子さま(89)や妻の信子さま(57)、聖路加国際病院の日野原重明理事長らが寛仁さまを見舞った。4日には信子さまの兄の麻生太郎元首相も訪れた。
彬子さまは日本美術の調査研究で訪独し、4日はポーランドであったシンポジウムで研究発表をしたという。(北野隆一、島康彦)