三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱樹脂は、LED(発光ダイオード)照明などを使って生産性を高める「野菜工場」の関連事業を強化する。野菜工場(植物工場)といっても、ハウス栽培に水耕栽培や人工照明、温度・湿度などを制御できるシステムを整備したもの。
ハイテクなハウス水耕栽培では、トマトの栽培設備「トマトリーナ」を2010年4月から販売開始。販売は三菱樹脂の子会社であるMKVドリーム(株)が中心となり開発した。特徴は、通常のトマト栽培では、高さ2メートル以上に成長してから収穫するが、1メートル程度に育った段階で多くの量を収穫できる点。労働負担が少なく、高齢化や後継者不足に悩む農家の需要拡大も期待できる。
また、10アール(1000平方メートル)当たりの年間収穫量が20トンから30トンに拡大するほか、より狭いスペースに植えられ、水や肥料を管理する手間も省力化できるのも特徴の一つである。
MKVドリーム(株)は、三菱樹脂のグループ会社であるMKVプラテック、丸井加工、アグリドリームの3社が、2009年7月1日付で統合してできた企業である。同社では、農業用ビニール資材や養液栽培システム「ナッパーランド」、閉鎖型苗生産装置「苗テラス」などの栽培システム、生分解性マルチフィルムの開発を行っている。
今回のトマトの栽培設備「トマトリーナ」の販売では、従来の苗を育てる設備「苗テラス」と合わせて農家に販売し、2つの設備を合わせた価格は10アール当たり約1300万円でセット販売する予定。将来的には、LED照明を利用するトマト栽培法も千葉大と開発し、10アール当たり50トンの収穫量を目指す計画。2011年度には、こうしたLED照明と組み合わせた栽培システムも販売する予定となっている。