【2012年2月29日 読売新聞】
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県警の警察官2人に28日、無罪を言い渡した地裁の裁判員裁判。
殺人と特別公務員暴行陵虐致死の両罪に問われた県警の東芳弘
巡査部長(35)と萩原基文警部補(35)はその瞬間、安堵の表情を浮かべた。

傍聴席の抽選には初公判の時を上回る263人が列を作った。
一般傍聴席は38席で、競争率は6.9倍だった。

「両名はいずれも無罪」。
法廷に橋本一 裁判長の声が響いた。
死亡した高壮日(当時28歳)の母、金順得(74)は遺影を
胸に抱き、眉間にしわを寄せた。

判決では、弾が狙いをそれた理由について言及。
「照準を合わせてから引き金を引き始めるまでに時間差が生じ、運転席の
男性の腕を狙ったのに外れた可能性が高い」という弁護側の主張を認めた。
また、2人が発砲前に十分な警告を行ったことも認定した。

無罪判決後、警察庁は「依然として厳しい犯罪情勢に適切に対処するため、
今後も適正かつ的確な拳銃使用が行われるよう、警察官の教育・訓練の
徹底を図る」とするコメントを発表した。

※板倉宏・日本大名誉教授（刑事法）の話
「今回の判断は裁判員にとって身近な内容ではなく、難しいものだったのではないか。
出した結論は尊重されるべきだろう。一方で、警察官が裁判にかけられた事と
一人の命が失われた事も確かだ。
警察は銃使用について、さらに検討を深める必要がある」
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【車上荒らし事件の概要】
1)パチンコ店駐車場にて駐車中の車から現金/クレジットカードを盗む。
2)高壮日容疑者と他1名が、被害車両の所有者に気づかれて逃走。
3)奈良県警が所在を確認し追跡開始。
3)職務質問の為に警察官が降車して接近したところ再び逃走を開始。
4)暴走行為を始める。
5)警察官が正当な発砲を行う。
6)高壮日容疑者に2発命中/運転者には1発命中。
7)搬送先の病院にて高壮日容疑者の死亡を確認。

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【読売新聞 2003年10月5日】
奈良県大和郡山市で2003年9月10日、車上荒らしの容疑者2人が乗った乗用車に
警察官が発砲した事件で、銃弾2発を首に受け、意識不明の重体だった助手席の
住所不定、高壮日容疑者（28）が10月5日、搬送先の病院で死亡した。

県警捜査1課などは同日、運転していた大阪府東大阪市御厨中
無職 平田敦容疑者（26）を窃盗の疑いで逮捕。
公務執行妨害容疑でも調べ、高容疑者についても容疑者死亡のまま書類送検する方針。

調べによると、2人は9月10日午後、同県橿原市醍醐町のパチンコ店駐車場で
乗用車2台から現金など計約11万2000円を盗んだ疑い。
平田容疑者は首に銃弾1発を受けるなどし、5日まで入院中だった。
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助手席の高壮日が【主犯】で、運転席の平田敦氏が高壮日に誘われ
止むを得ず犯行に加わった人物だったと仮定しても、兆弾の危険性を
深く理解し冷静な判断力を持った2名の警察官の発砲により、被害の
拡大を最小限に抑えた事は、正当な行為ですね。