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米空母G.ワシントンの原子炉「事故リスク」(「エコノミスト」記事)081112

○毎日新聞社の「エコノミスト」081104に重要な記事が出た(p.40-41)。

「「横須賀配備の「動く原発」
米空母G.ワシントンの
原子炉「事故リスク」」

と題し、筆者は物理学者・技術評論家の桜井淳氏である。

○空母の詳細については情報公開されているものと軍事機密のままのものがあるが、桜井氏は公開情報に基づき、さらに情報を解読することでその核心に迫った。

○「GWが搭載する原子炉は・・70万キロワットの加圧水型原子炉2基である」(合計140万KW)。

これは出力が非常に高い。普通の原発は50万KWから100万KWだから、いわば1つの小さな都市全体を動かせるだけの出力がある。乗組員が6千人いるから、小さな町程度の船だが、常にこれだけの出力を出しているのではなく、ゆっくり進んでいることもあれば全速力で進むこともあるだろうから、馬力はこれだけだとの意味である。

桜井氏は6つの点で商業用の原発と異なっているとする。

1.ウラン燃料の濃縮度が高い。商業用は3%程度だが、この船では93%のものを使う。原子爆弾と同じだ。

2.ウラン燃料を1本毎に包んでいる筒の材質が、商業用は中性子吸収が少ない為に効率が良いジルコニウムを使うが、この船ではステンレス・スチールを使う。それは、「軍事行動に伴う急速な原子炉の」出力変化で温度が急変する為に燃料棒がぼろぼろになるのを防ぐ為の配慮である。

3.燃料の交換を商業用では3年程度で行っているが、この船では20年以上交換の必要がない。

つまり、3.のため1.が必要となり、2.のためにステンレスが中性子を吸収して効率が悪くなる為、1.が再び必要とされる。

4.商業用の加圧水型では、原発を止める為には上部の制御棒を離すことでストンと下に落ち止まる。制御棒を電磁石で上に吊り上げているから、事故がおきれば電気が来なくなって自動的に棒が下へ下り止る。事故がおきれば安全な方向へ不具合が生じるようになっている。
ここまではGWも同じだが、船の場合は津波や座礁・ミサイル攻撃で傾くことがある為、重力だけに頼っては危険であることになる。そこでGWの場合、「各制御棒に強力なスプリングを」付けて、1-2秒の内に差し込めるようになっていると考えられる。そこで、完全に船が傾いても、あるいは逆様になっても1-2秒で差し込めるのかが問題だが、普通、船舶用原子炉は45度までの傾きが想定されており、「日本の原子力実験船「むつ」」の場合もそうだった。GWもそうなっている可能性が高いという。

5.原発とはそもそも、出力を出し始める時もゆっくりと上げていかねばならない。止める時も温度変化はゆっくりの方が良い。それは、どんな材質であっても、急激な温度変化を繰り返しては最後はぼろぼろになってしまうためである。商業用原子炉の場合、「温度変化は1時間に摂氏55度以下という技術基準を採用している」。
ところがGWの場合、3分間で1千度温度を上昇させて良いとされている。そういう急激な変化が軍事作戦に必要とされる。こういうことを本当にやり、繰り返すことはどんな材質を使っても「余りにも危険であり、技術的にも不可能」だと氏は言われる。

6.商業用原子炉の寿命は40年。問題がなければさらに20年延長してよい。
だが「空母の原子炉は運転環境が厳しいため、設計寿命20年程度と考えられる」(なお、船自体の寿命は米軍によると50年とされている)。
「GWは92年の就役以来、ペルシャ湾を中心に世界各地で活動してきた。・・GWの原子炉は近く寿命を迎えると考えるべきではないか」。

○氏は結論として、GWの原子炉で一番懸念されることは、急激な温度変化を繰り返すことで材質がぼろぼろとなり、冷却水が抜けてしまいスリーマイル型事故が生じる可能性だとされる。

氏は、「事故発生確率は商業原発より1ケタ高い」つまり10倍の高い確率を持つと推定される。

このような原発付き空母は日本に必要ない。東京湾の真ん中に堂々と乗り込まれてはたまったものではない。一刻も早く出て行ってもらわねばならぬ。

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