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尖閣有事への政治シフト - 森本敏防衛相就任の意味
森本敏の防衛相就任は、米国による直接指名の人事であり、尖閣での軍事衝突を睨んだ日中有事シフトの布陣だ。布石を打っている。戦争には準備が要る。戦争は計画的なものだ。東シナ海で日中が武力衝突の事態となったとき、司令官である国防相が軍事に無知だったり、米軍と自衛隊の部隊に精通していない者だと、作戦に支障をきたすし、一瞬の判断や決定で重大な過失を起こす可能性がある。米国とすれば、このポストには最も信頼のできる人材を置きたいのであり、米軍の意向を指令して確実に日本政府をコントロールできるオペレーションを固めたい動機を持つ。このブログでは、昨年からずっと日中戦争が始まる危険性について論じてきた。誰もその警告を言わないので、オオカミ少年的な具合の悪さを覚えるのだが、戦争のシナリオに沿って全体が動いているのだと仮説すると、パズルのピースが嵌って万事が整合的に得心できる感は否めない。私は確信を深めている。尖閣で衝突が起きたとき、すなわち有事だが、連日、官邸で安全保障会議が開かれる。福島の原発事故のときの対策本部会議のように、この会議を中心に政治が回り、政府方針が決定される。このとき会議をリードするのが森本敏で、森本敏のような仕切り役がいなければ、この会議は回らないのだ。米軍の思惑で内閣を統御し、市ヶ谷の論理で霞ヶ関を服従させる役割。


尖閣有事の際に森本敏が国防相であれば、首相が誰であろうが、国家の全権を森本敏が掌握して指導する形になるだろう。これはちょうど、2001年の9.11テロから数年間、戦時体制下の米国でラムズフェルドが政策の実権を握って国家を操縦した図と似ている。その図を想起させる。戦争指導ということであれば、自衛隊との関係や米軍との関係で、森本敏以上の「適材」はいないと思われる。71歳。重鎮であり、米軍から信頼されている森本敏の判断や提案を覆せる者はいないだろう。まさに日本のラムズフェルド。少し考えれば分かるが、この人事は間違いなく米国の指示によるものだ。民主党の中には、親米のネオコン議員は無数にいる。国防相は長島昭久でもよかったし、渡辺周でもよかった。わざわざシビリアン問題で物議を醸すリスクを引き受けて、民間から元自衛官を抜擢する必要はなかったのである。誰もが大臣になりたくて鼻をピクピクさせている。野田政権の先は見えていて、普通に考えれば、大臣の任期は9月の代表選までの3か月だ。そして、次の選挙では民主党は惨敗と言われていて、大臣の椅子はおろか議員の職すら危ないのが実情であり、そうした事情を考えれば、平時での森本敏の起用は異常としか言いようがない。マスコミ報道だけからは真実は見えない。マスコミは真実を隠して嘘の説明で国民を騙すのが役割だ。われわれは、裏に何があるかのかを自分の頭で考える必要がある。

秋に中国指導部の人事が交代する5年に一度の党大会が開かれる。このときが中国の政権が最も不安定な時期だ。権力の交代は政策路線の継続に動揺を与え、方向性が固まるまで時間がかかる。誰がどのポストに就くかによって、その下の組織の人事と政策が決まる。権力闘争が激しくなるようなことがあれば、国家と軍の実務は混乱して停滞せざるを得ない。共産党が統治する国においては、党と軍は基本的に一体であり、党権力の軋みは軍の足並みの乱れに直結する。司令部と現地軍の指揮命令系統に悪影響を及ぼす。米国は、この権力移行期を好機として捉え、尖閣での「作戦」を計画しているのではないか。尖閣紛争を狙う米国の戦略目的は三つある。第一に、東シナ海を有事状態すなわち「戦場」にして、南西諸島(第一列島線)より東側の外洋海域に中国が進出できないよう阻止し、中国海軍の動きを封じ込めることだ。平時の公海だと艦隊は自由に通行できるが、有事ではそれができなくなる。自衛隊の捕捉を受けて攻撃を受ける。つまり、自衛隊は西太平洋という米国の庭を守る番犬になり、中国という敵が侵入すれば襲撃するのだ。東シナ海を有事のデインジャラス・ゾーンにすること。純軍事的な目的である。日本は南西諸島防衛宣言を発し、中国軍艦船による島嶼間への接近と往来の禁止を通告し、米国がそれを同盟国としてエンドースするだろう。海峡封鎖である。

第二に、日本の憲法を改定し、集団的自衛権を認めさせることである。国内政治上の目的だ。米国は日本の自衛隊をNATOの各国軍のように自由に使いたいのであり、アフガンでの地上軍や南シナ海の海上兵力に展開させたい。そのことで、米軍の損害と出費を削減させたい。そのためには日本の平和憲法は邪魔であり、まずは明確に集団的自衛権の行使に踏み切らせる必要がある。しかしながら、平時の発議と国民投票では9条改定の目算が立たず、現実には先に戦争を始めて発議する方法しかないのだ。9条改定の国民投票とは、国民に戦争する決意をさせることであり、日本が戦争をする国になってもよいとする決定を自分の一票で決めたという責任を負わせる政治機会である。この投票で改憲賛成派が過半数を取りにくいことは、消費税増税の世論調査が一つのシミュレーションを示して証明している。現状、マスコミで消費税増税に反対している論者は皆無なのだ。報道や論壇の世界では、数年前から消費税増税は正論であり、それに反対する立場は異端である。しかし、選挙で消費税増税が争点になるたびに、増税賛成勢力は敗北を喫してきた。9条改定でも似たような現象が予想されるだろう。庶民には庶民の皮膚感覚がある。それを麻痺させるためには、すでに戦争状態に入ったという環境を作るしかない。国民投票で大差で改憲を決めるためには、交戦や流血の犠牲という事実と状況が必要だ。

第三に、米国の狙いは東南アジアにあり、この戦略ドメインを確保するためにすべての外交軍事政策が組まれている。東南アジアから中国の影響力を締め出し、この地域を米国の21世紀のテリトリーとする。東南アジアは米国が繁栄を持続するためのニュー・フロンティアであり、唯一の超大国たる地位を維持するためのレーベンスラウム(Lebensraum)だ。この地域の排他的支配について米国は妥協できない。尖閣での軍事衝突と改憲の後、米軍は日本軍(旧自衛隊)に南シナ海の防衛任務を与え、イージス艦と掃海艇と潜水艦をスービック湾に配備させるだろう。カムラン湾の基地の整備拡張を日本に普請させ、日本軍(旧自衛隊)の中に新たに南シナ海方面軍を編成させるだろう。従来のような国連PKFやイラク多国籍軍に参加した派遣軍(群)ではなく、常駐の部隊を設立し、スービック湾とカムラン湾での守備を担当するだろう。ネットの議論を見ていると、米国は中国と手を組んでいて、二国間で戦争を起こす選択や道理はないという見方が多い。私も同感だが、そのことは、決して尖閣海域での日中の武力衝突の可能性を排除しないし、米国が日本を中国と交戦させて得る利益の存在を否定しない。米中両軍の激突を避ける範囲で、局地的限定的な軍事紛争を起こすのであり、政治的にコントロールされた戦争を仕掛けるのだ。米国は、第三者として仲介に入り和睦をさせる役割であって、自衛隊には後方支援だけで衝突に直接介入することはしない。

もう一つ、中国には日本と戦争する意思はないという議論がある。どれほど中国にその意思がなくても、日本(米国)にその意思があれば軍事衝突を起こすことはできる。思い出すべきは2010年の漁船衝突後の緊張で、あのとき菅直人が船長釈放を決断していなければ、中国は艦艇を尖閣に出動させる最後の手段しか残っていなかった。武力衝突を覚悟して最後のカードを切っただろうと、東郷和彦を始めとする外交論者が分析している。私の見方も同じ。中国指導部はチキンゲームに降りず、世界中が見守るNYの場で温家宝が断固たる決意を示した。アヘン戦争以来の列強による侵略と蚕食を経験した中国は、外国の挑発や策謀に対して弱腰の対応を採らないのであり、それが国是なのだ。弱腰の姿勢を国民の前で見せた途端、一党独裁の体制は崩れてしまう。2010年の9月から10月にかけて、日中の緊張は軍事衝突の一歩手前までエスカレートした。これと同じ戦争の危機は、日韓で竹島付近の海底調査をめぐる問題で揉めた2006年の4月にあった。安倍晋三がチキンゲームを仕掛け、韓国側が断固譲らず、ソウルでの交渉で全権代表が席を蹴って立ち、慌てた安倍晋三が、ホテルの駐車場まで追いかけさせて韓国に妥協を請うた場面があった。私のこれまでの経験では、日本が戦争の危機を迎えたヒヤリハットはこの2回であり、安倍晋三と前原誠司の火遊びでもたらされている。あのとき、保守マスコミは菅直人の弱腰を詰り、船長を釈放するなと轟々と政府に非難を浴びせた。

日中間の現在の経済関係がありながら、加工貿易立国である日本にとって第1位の輸出相手国が中国でありながら、何も躊躇することなく、読売・産経と自民党は中国との戦争を扇動した。今も、石原慎太郎の尖閣政局にマスコミは手を貸し続けている。森本敏は、9月の代表選で野田政権が終わっても、その後も防衛相を続けるだろう。米国の直接指名だから日本の都合で交代させられない。選挙で自民党政権になったとしても、米国は森本敏に自衛隊の指揮を任せるはずだ。おそらく、就任後すぐに市ヶ谷の幕僚を集め、米軍の将校を参席させて尖閣有事の机上演習に没頭するのではないか。ラムズフェルドは国防長官就任後、ずっとイラク侵攻作戦を練っていた。尖閣有事は「森本敏の戦争」と呼ばれるようになるかもしれない。思えば、ジャパン・ハンドラーという言葉が巷で言われ始めた頃から、森本敏は事実上の日本の防衛相であり続けてきた。小泉政権の頃からだ。米国が明確に日本の支配者としての存在感を示し始め、外交と防衛と金融の政策を壟断するようになってからである。財政金融のエージェントは竹中平蔵で、外交防衛のエージェントは岡本行夫と森本敏だった。岡本行夫は事実上の外相。アーミテージとマイケル・グリーンの意向を受けて、米国の政策指示をダウンロードし、それをマスコミで説明し、国民を説得し教化する役目を果たしてきたのが、岡本行夫と森本敏である。戦争が近い。われわれは森本敏の防衛相就任の意味を直視しなくてはいけない。尖閣有事の戦争準備ということが第一。

ショッキングで憂鬱なニュースだ。


by thessalonike5 | 2012-06-05 23:30 | Trackback | Comments(0)
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