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防衛相経験者ら 批判や懸念
6月4日 22時10分

4日発足した野田第2次改造内閣で、防衛大臣に拓殖大学大学院教授の森本敏氏を、民間から初めて起用したことについて、防衛大臣経験者などからは、批判や懸念が示されました。

防衛大臣経験者のうち、自民党の石破前政務調査会長は「民主党内に適任者がいないなか、固辞する森本氏に泣きつき、防衛大臣に無理矢理引っ張り出したと聞いている。行き当たりばったりで、国家運営への定見を持ちえない民主党の体質を示している。軍事的な対応に責任を負えるのは、選挙の洗礼を受けた政治家だけで、国会で野田総理大臣の文民統制についての見識を問いたい」と述べました。その一方で、石破氏は「民主党政権の2年半の間で、安全保障政策は混迷を極めているが、自民党の考えに極めて近い森本氏の起用で、安全保障政策が現実的なものに大転換すると思う」と述べました。

自民党の浜田国会対策委員長代理は「森本氏は、私が防衛大臣の時に防衛大臣補佐官を務めていただいたこともあり、見識をしっかり持った方だ。しかし、防衛省は政治的な課題が大変多く、民間登用が本当によいのか疑問だ。選挙を経て当選した国会議員が防衛大臣を受け持つのが望ましく、議院内閣制の下、特に防衛に関しては、文民統制を巡って疑問の声が出てもしかたがない」と述べました。

民主党の一川参議院幹事長は「今回の防衛大臣の人事は、私自身の思いからすると、『あれでいいのかな』という感じがある。文民統制=シビリアン・コントロールを考えると、政治家がしっかりと有権者の声を受けて、責任をもって国防政策にタッチするほうがいいのではないかと思う。学者の人は専門的な知識は豊富だが、自分の考えに凝り固まると困る」と述べました。
このほか、与党内では、民主党の川内博史衆議院議員が「森本氏の起用には、絶対に賛同できない。防衛大臣は文民でなければならないが、森本氏は元自衛官であり、文民でなかった時期がある。さらに、これまでの評論家としての活動で非常に偏った発言をしており、国際社会に誤ったメッセージを与えることになる」と述べました。

国民新党の下地幹事長は「今回の内閣改造で心配なのは、民間から防衛大臣を選んだのは初めてのケースだということだ。防衛大臣は最高機密を取り扱い、決断をしなければならないことがある。政治家は、そういったことを政務官や副大臣をやったりしながら経験を積んで大臣になるが、森本氏にはそういう経験がない。評論は優れていると思うが、あとは、周りがどうサポートしていくかだ。防衛省は、サポートの態勢づくりをしなければならない」と述べました。

一方、民主党の仙谷政策調査会長代行は「政治経験があったほうがいいかもしれないが、防衛省の場合、武官の存在もあり、それをどう使いこなすかは誰であっても同じだ。野田総理大臣が、今の東アジアの安全保障を巡る環境の中で、各国との安全保障の課題を解決していくために最もふさわしいと判断して選任されたのではないか」と述べました。

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