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06月05日 09:39
佐々木氏が語る「当事者の時代」
インタビューに応える佐々木俊尚氏(撮影:野原誠冶) 写真一覧 「当事者性」の欠如という日本のメディア空間に広がる問題点の構造を解き明かすことに挑んだ意欲作「『当事者』の時代」。本書の筆者であり、I...
東京電力・福島第一原子力発電所の放射性物質漏洩事故を受け、過度な原発依存から脱却を図るため、西岡俊久・神戸大学大学院海事科学研究科教授は、島国である日本の地理的条件を活かした超大規模海洋発電装置「海神(NEPTUNE:Natural Electric Power Transformation Unit from Natural Energies)」を発明しました。無尽蔵なエネルギーを有する海洋を巨大ダムに見立てて海中で水力発電を行う世界初の革新的なアイデアで、地球の端が滝になっていて落ちてしまう「地球平面説」の絵からヒントを得ています。海神は、原発を遥かに上回る発電が可能であり、公益財団法人新産業創造研究機構(NIRO)の支援を受け国内及び国際特許に申請済みです。
「地球平面説」の絵(15世紀の世界地図マッパムンディ)
<出所>フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
海神は、大型貨物船のような浮体構造物や海中のフランシス水車型発電機2基(上部の浮体構造物に1基・下部の耐圧容器内に1基)、海中の配管で構成されています。まず、浮体構造物に敷設した配管に海水が入り、海流の運動エネルギーで発電機のタービンを回します。次に、浮体構造物に設置したクレーンで深さやワイヤーの傾きを調整し、沈下させた潜水艦のような耐圧容器に向けて海水が配管内を落下し、位置エネルギーで発電機のタービンを回します。最後に、海底ケーブル等で陸上に送電され、モーターを使って耐圧容器外に海水を排出します。ただ、運動エネルギーと位置エネルギーの和が常に一定となる「力学的エネルギー保存の法則」を鑑み、モーターを駆動させるためのエネルギーは、予め確保しておく必要があるように感じます。また、電池や発条(ぜんまい)のない玩具「水飲み鳥」が周りの気化熱(水が蒸散する力)で動くように決して永久機関でもありません。
海神の配管に用いられる「スペクトラ繊維」は、米国のハネウェル社が開発し、鉄の8~10倍の強度で、金属疲労が生じず耐久性に優れ、比重が0.97と水より軽く、柔軟な素材のため巻いて収納できます。海神の発電量は、海水の流量と落下の高低差で決まり、耐圧容器内の発電機が水深1kmにあれば原発1千基分(原発1基分の発電量=約100万kW)の電気を作り出すことが理論上可能です。まさに海洋が膨大な水量を誇るダム湖で、耐圧容器に水力発電所を丸ごと入れたような状態といえるでしょう。海神の建造費は、約1千億円で原子炉1基分(3千億~5千億円)の三分の一から五分の一程度と見積もられており、原発1千基分の電気を作り出す海神の金額的価値は、300兆~500兆円に上ります。
温室効果ガス(主に二酸化炭素)や大気汚染物質、そして放射能を一切出さずクリーンで再生可能な海の恵みを原動力とした電気生成装置である海神は、瀬戸内海に面する国際港湾都市・神戸らしい発想です。四方海に囲まれた日本は、海洋エネルギーの宝庫であり、明日で発生から1年を迎える東日本大震災(旧東北地方太平洋沖地震)で甚大な津波被害を受けた岩手県や宮城県、福島県の沖合に海神を配置し、復興に役立てることができます。海神が近い将来その名のとおりネプチューン(ローマ神話で海神の意味)の如く日本の“守護神”となることを期待します。
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前・公益財団法人日本生産性本部主任研究員