新閣僚の顔ぶれでは地味な印象が目立つ4日の内閣改造。隠れた焦点は、野田佳彦首相の周辺で浮かんだ民主党の輿石東幹事長の交代論だった。首相は党運営の要である輿石氏との決別は避け、改造人事の中身でも一定の配慮を示した。
「相談がありますので官邸に来てください」。1日、首相は輿石氏を電話で呼び出した。輿石氏と向き合った首相は「4日に内閣改造をしたい」と人事の断行を告げた。
参院で4月20日に2閣僚が問責決議を受けて以降、首相周辺は内閣改造のタイミングを探っていた。問責決議が閣僚辞任に直結する事態を慣例にしたくない輿石氏は交代を拒み続けてきたが、最後は折れた。
「問責を打っても効果がないことを自民党に教えてやった」と輿石氏は関係者に語る。改造人事を受け入れた背景には「審議拒否」を宣言した自民党が原子力規制庁設置法案の衆院での審議入りに応じ、欠席戦術が崩れたことが影響した。
だが、それだけではない。党関係者は「首相が輿石氏の幹事長留任を認めたため」と解説する。
自民党との連携にカジを切り始めた首相にとって、消費増税関連法案を巡る野党との修正協議を進める意欲が見えない輿石氏への疑念が生じていたのは間違いない。「輿石氏が裏切れば、更迭する覚悟を決めるべきだ」。周囲からは幹事長交代を促す声も届いていたが、首相は「輿石切り」を避けた。
「切れるもんなら切ってみろ。党が割れたら消費税どころじゃない。輿石切りどころか野田切りになる」。首相との会談後、輿石氏は周囲に漏らした。
党内の基盤が弱い野田首相は国会運営などを輿石氏に頼ってきた。輿石氏とたもとを分かっても、すぐに自民党と連携できるわけではない。人事での大きな「賭け」は見送った。輿石氏の取り込みを重視するのは、距離を置きつつある小沢一郎元代表への重しの役割を期待する狙いもあった。
首相周辺によると前回の改造の人選に輿石氏は深くかかわったが、今回は「何の注文もつけなかった」という。政府筋は改造前に「参院に適材がいなくて頭を抱えている」と漏らしていた。ただフタを開けてみると、結局は輿石氏が議員会長を務める参院民主党から新閣僚5人のうち2人を起用した。
首相と元代表をつなぎ、党内のバランスを重視してきた輿石幹事長の続投。政権の命運をかける消費増税法案の成立にプラスかマイナスかは、まだ分からない。
輿石東、野田佳彦、小沢一郎
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