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【千葉】

津波10メートルなら 浸水高14〜8メートル 山武市が独自予測

市が独自に作製し、全戸配布した津波ハザードマップ

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 山武市は独自に津波予測を見直し、九十九里浜に面した市の海岸に高さ一〇メートルの津波が来た場合、浸水は沿岸部で高さ一四〜八・二メートルに達し、海岸から五・四キロ離れた内陸まで津波が届くなどとする想定をまとめた。これに基づく津波ハザードマップを作製し、四日に約二万の市内全世帯に配布した。 (佐々木香理)

 県が四月に公表した津波による浸水予測(津波高一〇メートル)では、山武市の浸水の高さは七・四〜六・一メートルで、市の独自予測と最大で二倍の開きが出た。内陸への到達距離も、一・八キロだった県予測の三倍となり、より深刻な被害をもたらす可能性が出た。

 実際、昨年の東日本大震災では、山武市には約三キロ内陸まで津波が押し寄せ、四月の県の予測図を上回っている。

 市の担当者は、同じ津波の高さで浸水予測に差が出たことについて「震源の設定が異なるため」と説明している。

 市は震源として、房総半島南東の約百〜二百キロ沖合、太平洋プレートなど三つのプレートの交わる海域の周辺を設定した。東日本大震災の震源の延長上に位置し、この海域で地震が起きれば、高さ一〇メートルの津波が沿岸を襲う可能性があるという。これに対し、県の予測は震源の設定がない。津波が沿岸にぶつかる角度(入射角)の違いが、浸水エリアの被害の差となったという。

 ハザードマップでは、三階建ての緑海小や蓮沼中といった避難所は、五メートル前後の津波浸水エリアに含まれた。屋上などは一時避難所として機能するが、より高台の避難所に二次避難しなくてはならない可能性もある。

 市は新たな想定を受け、津波避難タワー建設の検討に着手。周囲に高い避難場所がない地域など必要箇所を具体的に詰める考えだ。

 市の担当者は「県との想定に差はあるが、市民に『いち早く逃げることが第一』という意識を高めてもらうためにも高めに想定した。大きな津波が来たら、どこに逃げればいいか役立ててほしい」と呼び掛けている。

 マップは津波の高さ十メートルのほか五メートル、三メートルの三種類。県も同じ三種類の想定を行ったが、山武市の予測はいずれも県を上回る津波の想定となっている。

 

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