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【放送芸能】

「剣客」小兵衛 復活 軽さと凄み 難役に挑む

 池波正太郎さんの小説を原作にしたフジテレビの本格時代劇「剣客商売」が、北大路欣也を主演に迎え、復活することが決まった(単発、今夏放送予定)。故・藤田まことさん主演で1998年から2010年まで放送された人気シリーズ。藤田さんの急逝で終了したが、剣客ファンの後押しもあり、老剣客・秋山小兵衛が戻ってくる。 (宮崎美紀子)

 「剣客商売」は、剣を生業とする秋山小兵衛、大治郎の親子を中心に、彼らを取り巻く人々と江戸で起きる事件を情緒豊かに描く。

 フジは一九七〇〜八〇年代、加藤剛演じる大治郎が主人公の連続時代劇(小兵衛は故・山形勲さん)、故・中村又五郎さんが小兵衛役で主演した単発ドラマ二本(大治郎は加藤剛)を放送。

 その後、九八年から藤田さん主演の連続もの五シリーズ、単発ドラマ六本を放送した。藤田さん最後の「剣客〜」が放送されたのは、亡くなる十二日前の二〇一〇年二月五日だった。

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 同局の成河広明プロデューサーは「藤田さんが亡くなり、ショック、悲しみを受けた視聴者の方からご意見が寄せられた。同時に『剣客商売』は永遠の作品だから続けて、という声も多かった」と語る。

 同局にとっても「仕掛人・藤枝梅安」「鬼平犯科帳」「剣客商売」の一連の池波作品は、その時々の名優で映像化してきた大切な財産。一〇年末、前作の「小兵衛の家」のセットを取り壊したのを機に、新たな剣客へと動きだしたという。

 小兵衛に北大路欣也という配役に驚くファンもいるだろう。小兵衛は、飄々(ひょうひょう)とした隠居の身で、四十歳若い農家の娘おはるに手を出してしまうような軽妙さと、剣豪の凄(すご)みを併せ持つ。重厚で風格がある北大路は、過去の“小兵衛俳優”とタイプが異なるが、成河さんは「圧倒的な剣豪」としての側面を重視したという。その上で「真っすぐな人物をスケール大きく演じてきた北大路さんが、含蓄ある小兵衛をどう演じるのか。そこが魅力」と話す。

 続編でも主役交代でもなく、新生・剣客で、物語も初期の原作「女武芸者」「御老中毒殺」を採用。初めての人も分かりやすくドラマに入れる。

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 撮影は京都・太秦の松竹撮影所で行われた。秋山道場のセットで北大路は「この役をやらせていただけると思っていなかったので、びっくりした。これまで“直球”の役が多かったが、小兵衛は変化球からスローボールまで球種がいくつあるか分からない。ある意味、挑戦です」。

 北大路以外の主要キャストも一新。父に似合わぬ堅物の道場主・大治郎は斎藤工、老中・田沼意次の娘で女剣士の三冬は杏、おはるは貫地谷しほり。

 杏は「『剣客商売』はファンの思い入れが強い。みなさんの剣客像、三冬像に近づくよう、生き生きと演じたい」、貫地谷は「父が剣客の大ファンで、家族が喜んでくれた。演じているうちに、小兵衛さんがかわいく思えてきました」、斎藤は「この場に自分がいることが驚き」と述べた。

 三冬とおはる。二人に思いを寄せられる感想を「年とってから若い人にそう思われるのは最大の喜び」と、おどける北大路に、既に小兵衛らしさがにじみ出ていた。

 

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