5月28日、学生の学費を一般から募る支援サイトが、支援金の全額返還と活動停止を発表した。サイト開設からわずか11日のことだった。ある“女子大生”の支援金募集を始めたところ2日で約100万円を集めたが、様々な批判が集中。今年最大級の炎上事件へと発展し、サービス停止に追い込まれた。「1人でも多くの苦学生を救いたい」という思いで始まったこのサイトは、なぜつまずいたのか。サイト運営者や支援金出資者の証言をもとに検証した。
「最初から、すべての苦学生を救えるシステムだとは思ってはいない。ただ、学費を扱うには僕らの考えが足らなすぎた。軽率だったところもあるんだろうなと反省しています」
5月17日に立ち上がったスタディギフトの画面。わずか2日で目標額をクリアした
学費支援サイト「studygift(スタディギフト)」を立ち上げた家入一真氏(33)は、様々なネットサービスを企画するプロジェクト「liverty(リバティー)」のオフィスでそう語り、肩を落とした。スタディギフトもまた、リバティーによるプロジェクトの1つだ。
レンタルサーバーのpaperboy&co.を創業した家入氏は、ジャスダック市場に最年少で上場したことで知られる。その後、レストランやカフェなどを手がける会社を起業したり、新手のネットサービスを短期間で開発するクリエーター集団のリバティーを率いるなど、活動領域を精力的に広げてきた。その彼が世に送り出した最新作が、スタディギフトだった。
■2日で目標額を達成、195人26社が「支援」に名乗り
「●●(本名)は、学生を支援してくださるサポーターを探しています」――。
5月17日に学費特化型のクラウドファンディングとして立ち上がったスタディギフト。アクセスすると、ある“女子大生”が実名をさらし、大きな文字でこう呼びかけていた。次に大きな文字で「Google+のフォロワー数が話題となった●●と申します」とある。
彼女は、米グーグルのSNS「Google+」に毎日、朝焼けや夕焼けの美しい写真を投稿し続けたことでフォロワー数を増やし、一時期、日本一となったことでネットメディアの記事にも取り上げられた有名人。大写しの写真が何枚も貼られている傍らで、切実な事情が彼女の言葉でつづられていた。
「良い成績をキープできずに奨学金を打ち切られてしまい、学費が払えない状態になってしまいました」「そもそもGoogle+は就職活動のために始めたのですが、大学を中退になりそうな状態では通常の就職活動を続けることは不可能になってしまい、なんのために大学に入ったんだろう、と感じました」
プロフィル欄にはこんなメッセージを掲げた。「『沖縄大学は年間4人に1人が中退している。その9割近くが学費が払えないという経済的理由だった』というニュースを読んだことがあります。クラウド・ファンディングで学費を支払う新しい形として、このプロジェクトを成功させるためにがんばりたいと思います」
支援者は、最低5000円の支援の見返りとして、今後彼女が週1回ほど書くというメールマガジンの購読と、成績発表に合わせた活動報告を受ける権利が得られる。最低10万円の企業サポーターは上記に加え、彼女に企業のPRに協力してもらえる。これに支援が殺到した。
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5月28日、学生の学費を一般から募る支援サイトが、支援金の全額返還と活動停止を発表した。サイト開設からわずか11日のことだった。ある“女子大生”の支援金募集を始めたところ2日で約100万円を集めたが…続き (6/5)
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