増え続ける生活保護費の不正受給対策のため、大阪市の橋下徹市長はこの4月から、生活保護の「不正受給調査専任チーム」を市内24区すべてに配置している。
現在、日本人の66人に1人が生活保護を受けている計算になるが、大阪市では市民18人に1人と数字がはね上がる。この大阪市の中でも、日雇い労働者が数多く暮らすあいりん地区がある西成区は、区民の4人に1人が生活保護受給者となっている。
そのため、西成区の「専任チーム」は、係長がひとり、警察OBがひとり、職員OBがひとりの3人体制2チームで構成される徹底ぶり。大阪市西成区役所保健福祉課の担当係長が、彼らの職務内容を説明する。
「具体的に言うと、区民から『生活保護を受けているAさんが、スナックで働いているんじゃないか?』といった情報提供がありました。実際、ケースワーカーには申告せずに隠していたわけです」
ケースワーカーとは、生活保護受給者ひとりひとりを受け持つ担当者のことだ。
「ケースワーカーは生活保護者を100人くらい担当しているなんてザラですから、時間的余裕がない。そこでケースワーカーに代わってわれわれが調査する。家から出るところに警察OBが張り、僕は店のほうにいる。家を出ると警察OBから僕に電話が入る。自転車でスナックに出勤してくる。店に入り開店準備をしていることを確認する。調査は最低でも1ヵ月続けます」
まるで刑事並みの仕事ぶりだが、「警察と違い、踏み込むことはできない」と同係長。あくまでも、不正受給の証拠集めに徹しているという。
「あと、不正就労について付け足せば、病気と偽る“詐病”も不正就労につながります。腰を痛めて歩けず働けない。医師がそう診断している。にもかかわらず、こっそり自転車を乗り回していたり、こっそり働いているケースもあります」
不正受給をする悪い奴らと、役所のいたちごっこが繰り広げられている。
(取材/鈴木英介)
■週刊プレイボーイ25号「生活保護費不正受給の実態」より