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原発安全指針 電力会社に作文指示
6月4日 18時25分

原発安全指針 電力会社に作文指示
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東京電力福島第一原子力発電所の事故の原因となった長時間の電源喪失について、国の原子力安全委員会の作業部会が、20年余り前、電源喪失の安全指針の見直しを検討した際、電力会社側の強い反発を受けて、見直しを見送っていたことが分かりました。安全上重要な指針の見直しに電力会社側の意向が反映されていた実態が、改めて浮き彫りになりました。

原発の電源喪失の安全指針の見直しを巡っては、原子力安全委員会が平成3年に作業部会を作り、非公開で検討しましたが、停電の発生が少ないことなどを理由に見送っていたことが明らかになり、安全委員会が当時の会議資料などを去年10月までに公表しました。
ところが、国会の事故調査委員会からの要請で、改めて当時の経緯などを安全委員会が調べた結果、これまで公表していなかった電力会社側と安全委員会のやり取りを示した文書が見つかったということです。
それによりますと、当時、電源喪失への対策を指針に盛り込むことについて、電力会社側が「リスクが特に高いとは思えない」などと強く反発し、これを受けて作業部会が、平成4年10月に当時の事務局の科学技術庁を通じて、「対策を取らなくてもよい理由を作文してください」と電力会社側に文書で指示していたということです。
その後作業部会は、電力会社側からの回答をほぼそのまま受け入れた報告書を作り、「原発の長時間にわたる電源喪失への対策については考慮する必要はない」として、指針の見直しを見送っていました。
安全指針の見直しを巡っては、これまでにも耐震指針の見直しの際に、電力会社側や保安院から「古い指針でも安全は確保される」などとする趣旨を盛り込むよう要請があったことが明らかになっています。
原発の安全に関わる指針の見直しが電力会社側の意向を受けて見送られたことについて、安全委員会の班目春樹委員長は、「今回明らかになった報告書の原案を電力会社に執筆させていたことは、明らかに不適切で大変申し訳ない」と話しています。

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