総務省は21日、福井県が条例を改正して導入を目指してきた核燃料税の新方式に同意したと発表した。原発が停止中でも電力会社から同税を徴収できる全国初の方式で、来月10日から実施される。県は今後5年間の税収を約600億円と計算している。
福井県は原発15基(1基は解体中)を抱える全国最多の立地県。原子炉に燃料が装填(そうてん)されるたびに燃料価格の12%を課税していたが、今後は原子炉の規模を表す熱出力に応じて課税する「出力割」を組み合わせる。
燃料価格に換算した新税率は実質17%で、全国の原発立地自治体で最高税率となる。17%の半分を出力割で徴収する。
福井県では、7月の県議会で核燃料税条例の改正案が可決。地方税法に基づいて県が総務省と協議していた。期間は5年間。
西川一誠知事は21日の定例会見で「市町の意見も聞きながら有効な活用方法を検討し、必要な安全対策を進める」と述べた。
福井県が導入する新方式をめぐっては、新潟県が、導入した場合に税収が昨年度の約4倍の51億円余りになるとの試算を明らかにし、次回の改定で参考にする意向を示している。
東京電力福島第一原発の事故後、各地で原発の停止が相次いでいるが、新方式では安定した税収が見込める。福井県は、定期検査の長期化やトラブルで燃料交換の間隔が延びる傾向が続き、東日本大震災の前から新方式を検討していた。(笹川翔平)
福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート