小川前法相:指揮権発動を首相に相談 「虚偽」捜査報告で

小川敏夫前法相=尾籠章裕撮影
小川敏夫前法相=尾籠章裕撮影

 小川敏夫前法相は4日午後、法務省内での退任記者会見で、小沢一郎・民主党元代表の陸山会事件に絡んで東京地検特捜部(当時)の田代政弘検事が「虚偽」の捜査報告書を作成したとされる問題について「指揮権の発動を決意したが、総理の了承を得られなかった」と発言した。法相が指揮権を発動しようとしたことを明らかにするのは極めて異例。

 会見で小川氏は、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件にも触れ「検察への信頼が損なわれている時に、検察が適当な形で幕引きをしてしまうことがあれば、信頼は回復されない」と発言。先月初旬、検察当局が田代検事らを不起訴とする方針と報じられた後、官邸を訪れて野田佳彦首相に指揮権の発動を相談したことを明かした。

 また、「50年(余)前に国民に不評を買う指揮権が(造船疑獄で)発動されて以降は抑制的だったと思うが、検察が内部の事件で消極的なら、積極ならしめるのが法相の本来の姿だ」と、発動に肯定的な見方を示した。

 野田首相との詳しいやり取りや具体的な指揮内容については明言を避け、再任されなかったこととの関係についても「推測で言うわけにはいかない」と述べるにとどめた。【伊藤一郎】

 ◇法相の指揮権

 検察庁法は法相の一般的な指揮権を認める一方、個々の事件については「検事総長のみを指揮することができる」と定め、権限を事実上制限している。個別事件で不当な政治介入を防ぐためとされ、1954年に犬養健法相(当時)が造船疑獄事件で指揮権を発動して佐藤栄作自由党幹事長(当時)に対する捜査を打ち切らせた際には強い批判を浴び、犬養法相は辞任した。以後、指揮権を行使した法相はいない。

2012年06月04日 20時05分

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