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【ゴルフ】

川村 1打差2位 国内メジャー84年ぶり最年少記録へ

2012年6月3日 紙面から

◇ツアー選手権<第3日>

 ▽2日、茨城・宍戸ヒルズCC(7313ヤード、パー71)▽晴れ、気温25・3度、風速2・2メートル▽賞金総額1億5000万円、優勝3000万円▽68選手▽観客6611人

 高卒ルーキー・川村昌弘(18)が“遼超え”を視界にとらえた。第2ラウンドの残りと第3ラウンドが行われ、川村は第2ラウンドの11番から再開。1ダブルボギー、2ボギーと崩れ、通算6アンダーの4位に後退したが、第3ラウンドは5バーディー、2ボギーの68。通算9アンダーに盛り返し、首位と1打差の2位につけた。勝てば浅見緑蔵が持つ国内メジャーの最年少優勝記録19歳9カ月を84年ぶりに更新。石川遼も届かなかった歴史的快挙に18歳が挑む。

 百戦錬磨の攻めだった。最終18番。残り195ヤードからの2打目だ。4番アイアンを選びかけ、川村は考えた。「風もあるし、絶対に力が入る場面。1つ番手を下げよう」。アドレナリンの量まで読み切ったクラブ選択。5番アイアンで振り切った一打は、ピン下80センチにピタリとついた。「会心ですね」。完璧なバーディー締めで2位。歓声を浴びながら、18歳が静かにほほ笑んだ。

 粘りに粘った。2日目は雷でサスペンデッド。この日は午前3時に起き、6時45分に11番から再開。だが、12番のアプローチで「人生初」の2度打ちでダブルボギーとすると、16、18番もボギー。

 休憩を挟んで第3ラウンドも13、14番と1メートルのパーパットを外した。この時点で首位とは4打差。だが、並の18歳ではないのはここからだ。

 「開き直りました。僕はテンポよく打つタイプなのに、慎重になりすぎていた」。自分のリズムを思い出し、15番で8メートルを沈めて反撃開始。続く16番も3メートルをねじ込み、最後は18番で圧巻のスーパーショット。見事な巻き返しを見せたが、増田哲仁コーチは「昔からピンチでスイッチが入るんです」とニヤリだ。

 首位とは1打差。プロ7戦目にして初めて最終日最終組の座を手にした。勝てば1928年の日本オープンで浅見緑蔵が記録した19歳9カ月7日を抜いて史上最年少V。遼も塗り替えられなかった快挙に手をかけたが、高卒ルーキーは足元を見つめる。

 「絶対に緊張すると思います。でも、貴重な機会。最後まであきらめなければ、今後の大きな経験になる」。今はすべてが成長の糧。おごらず、でも、恐れず。あどけなさ残る18歳が、さびついた歴史の扉をこじ開ける。 (寺西雅広)

 

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