税理士の仕事
税理士の仕事は法律で定められた業務のほかに、最近ではますます活躍のフィールドが広がっています。
近年は税法の複雑化、高度化、国際化が進んでおり、その一方で景気の長期低迷傾向にあるため、税理士に期待される仕事は、単に税務・会計に関する分野にとどまらず、企業の経営そのものに関わる分野にまで拡大しています。例えば、経営計画や財務戦略、リストラに関する税務・組織の再構築、国際化に伴う国際税務、企業の情報化に伴う会計・税務システムの提案・構築など、企業経営全般に関する各種提案・アドバイスです。
個人に関しては、相続・贈与など個人資産に関わるさまざまな相談が寄せられています。また、税理士は行政書士となる資格もあり、税理士業務に付随して社会保険労務士業務を行うこともできます。
このように税理士の仕事は非常に広い範囲にわたっています。資格をとるのも難しく、たいへんな仕事ではありますが、経済活動のあるところ全ての分野・地域で活用できる重要な職業です。
税理士と公認会計士の違い
税理士と似た資格に公認会計士というものがあります。税理士と公認会計士の違いは分かりにくいのですが、一言でいうと税理士は「税務の専門」、公認会計士は「会計監査の専門」であるといえます。
公認会計士の行う会計監査というのは、企業の発表する財務諸表が正しいかどうかをチェックする作業で、公認会計士の多くは監査法人というところに就職し、企業の財務状態・経営状態をチェック・監督をしています。それに対して税理士は、税金のプロであり、税金の手続きや申告、財務諸表を作る立場になります。
試験の内容も、税理士は税法中心なのに対し、公認会計士はさらに監査論、企業法、経営、経済まで幅広く学びます。
公認会計士の資格があれば同時に税理士となる資格もらえます。そのため、税理士業務を兼任している公認会計士も多くみられます。
税理士試験に合格したら
税理士試験に合格したら、すぐに税理士になれるわけではありません。税理士として登録することが必要になり、さらに登録するためには、実務経験が2年以上ない場合は、税理士事務所で働くなどして「租税・会計に関する事務」を経験する必要があります。
実務経験の雇用形態は、正規の雇用関係があれば正社員でもパートでもアルバイトでも構いません。また、税理士試験の合格前、後、どちらでも計算できるので、税理士事務所で働きながら試験に挑戦するという方法もあります。
具体的には以下のものが実務経験として認められています。
(1)租税に関する事務
税務管公署における事務のほかのその他の管公署及び会社等における税務に関する事務
(2)会計に関する事務で政令で定めるもの
・簿記上の取引について簿記の原則に従い取引仕分けを行う事務
・仕訳帳等から各勘定への転記事務
・元帳を整理し、日計表又は月計表を作成して、その記録の正否を判断する事務
・決算手続に関する事務
・財務諸表の作成に関する事務
・帳簿組織を立案し、又は原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検する事務
(1)(2)の業務のうち「特別な判断を要しない機械的事務」(簿記会計に関する知識がなくともできる単純な事務をいい、電子計算機を使用して行う単純な入出力事務もこれに含まれる)を除いたものが実務経験として認められます。