料理王国フランス・パリ。今や冷めやらぬビストロブームの中、ひときわ人気のあるビストロ。「シェ・ラミジャン」。予約の取れないお店の代名詞ともなっているこちらのシェフはブルターニュ出身のステファン・ジェゴさん(Stéphane Jego)。同じく人気の絶えない14区にあるバスク郷土料理店「ラ・レ・ガラード La Regalade」にて当時のシェフであったバスク地方出身のイヴ・カンドボルド(Yves Camdeborde)氏の下、セカンド・シェフとしてその実力を発揮。ちなみに現在カンドボルドシェフは6区はオデオンに構える「ル・コントワール Le Comptoir」のオーナーシェフとして話題を呼んでいるシェフであることは有名なお話。そんな大師匠の下で過ごしたレ・ガラード時代を踏み、2002年にもともとバスク料理店だったここ7区のシェ・ラミジャンを買取、独立。自分の出身であるブルターニュの郷土料理を折り込みながらも、繊細でパンチのある彼のバスク料理は日々満席の大人気。
扉を開けるとここは正しくバスク!生ハムがぶら下がり、バスク布のデコレーション、バスク伝統調度品が何とも言えぬ空間を作り出し、各テーブルの上にはバスク特産、ピーマン・エスプレット(とうがらしの粉)がスタンバイ。雰囲気満点なのです。
まずはバスクならではの生ハムでアペリティフ。「Jambon de truie, beurre 1/2sel Jean Yves Bordier (14ユーロ)」年期の入った木板にたっぷり盛られたバスク産雌豚の生ハム。すりたてのフレッシュ感、優しい塩分に甘味感じる脂。柔らかくてついつい食べ過ぎてしまいます。ブルターニュで有名なボーディエさんの有塩バターがついてくるのも憎いところ。すでに満足感を味わっていると、運ばれてきたのはアミューズ・ブーシュ。生ハムの食感の違いをうまく利用し、鮮やかな野菜でアレンジされた一品。のっけから美しくボリュームあるお皿なのです。
この日はムニュ(前菜・メイン・デセール 32ユーロ)を注文。前菜はブランダード。「Une brandade pas du tout dans les normes」。海に浮かぶかような鮮やかなグリーンのソースに塩分の程よい鱈。オニオンスライスのシャキッとした食感にふわふわの泡が口の中で一体化しとても上品。
そしてもう一品はアドック(モンツキ鱈)の燻製「Haddock poché minute 」。こちらも様々な食材が融合して鱈の塩分と調和。しっかりした味付けが印象的。ミルクとバニラ、シナモンの風味が鱈の臭みを取りまろやかになっています。
メインはお魚からスズキ「Bar des côtes bretonnes au beurre 1/2sel façon
」。中はふかふか、表面はかりっと香ばしく焼き上げられたスズキ。臭みは全く感じられず旨味が中に閉じ込められています。ブルターニュの有塩バターを使って焼かれているのでとてもいい香り。鮮やかな野菜のチップが食感にアクセントをつけています。そしてもう一品は豚の胸肉・ラングスティーヌのグリエ「Terre…mer de poitrine de porc ibaiona aux Langoustines, corse de bisque」。とろとろの胸肉は口の中でとろけながら消えてしまう程柔らかい。濃縮ビスクソース(甲殻類のソース)がラングスティーヌに絡まりながらお肉のエキスと合体。まさに地と海の融合、何とも言えぬ味わいです。そして付添えのジャガイモのピュレが非常にミルキーで美味でした。一緒に絡めて頂けば、また違った美味しさを堪能できます。
そしておまちかねのデザート。こちらに来たなら絶対に頼んで頂きたいのがリ・オ・レ。「Riz au Lait grand-mère en service, confiture de Lait」。ブルターニュの名物でもあるデセール。シェフご自慢の一品です。ミルクで柔らかく煮込まれたお米はバニラもたっぷり入って風味豊か。そしてまるでクリームを食べてるかのようなふかふかな口当たり。カフェオレボウルにどん!と出てくるこのスタイル。昔ながらのおばあちゃん風といった感じです。量も半端ではありません。付添えのミルクのコンフィチュールを混ぜて頂けば更に濃厚な味わい。これだけでも又食べに来たい、と思いますよ。
そしてバスク代表のデザート、マミア「Mamia de choix à la façon d’Amatxi, miel」。雌羊のミルクの凝乳で、優しい酸味のあるヨーグルトのような感じのものです。伝統的にハチミツがかかり可愛らしい陶器のポットでサーブされます。お好みで相性のいいスリーズ・ノアール(黒さくらんぼ)のコンフィチュールもかけて頂くと二度美味しい。
最後まで非常に丁寧に仕上げられた愛情のこもったお皿の数々。とても美しくてビストロというには失礼なのでは?なんて思ったり。気づくと店内は満席。テーブル席からも覗ける半オープンなキッチン。厳しい眼差しでお皿の最終チェックをしているシェフ。カウンターではシェフの愛娘カミーユちゃんがみんなをお手伝い。ずっと店内にいてみんなの仕事を見ている姿が何ともアットホームさを感じました。
予約は取りずらいかもしれませんが、是非とも一度チャレンジして食べに行っていただきたいお勧めのビストロです。
Chez L’Ami Jean【シェ・ラミジャン】
27 rue Malar 75007 Paris
Tel : 01 47 05 86 89
営業時間 : 12:00 ~ 14:00 / 19:00 ~ 24:00
定休日 : 日・月曜日
メトロ : 8番線 La Tour-Maubourg
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