ようやく少し落ち着いてきたので、きちんと御礼を兼ねて時々お客様から尋ねられる「白いコーヒーブランマンジェ」の誕生秘話をお話させていただきたいと思います。
もちろんコンサルタントやアドバイザー契約を結んでいるような方々ではありませんし、その方たち同士もお互いに面識はないと思います。
偶然にもその方々からの助言が点から線になり、出来たメニューです。
なので僕自身は全くオリジナルだとは思っていません。(驕らないためにくれぐれも)
一番最初のきっかけをくださったのは、開店以来東京から車でご来店くださるKさんご夫妻でした。
...何年前になるでしょうか?お店へいらっしゃるなり「お土産あげる」と数冊の本をくださいました。
その中にゼラチンについて詳しく書いてある本があり、「カプチーノとかエスプレッソの飲み物メニューばっかじゃなくて、それ使ってゼリーとかコーヒー牛乳プリンをやりなよ!」と開いてくださったページにあったのが「ブランマンジェ」のレシピでした。
「いやー、まだまだ満足に仕事がこなせてない僕がこういうオシャレなのは作れませんよ」とその時は話を濁してしまいました。
実際にまだまだカプチーノの表面に色々な模様が書けるレベルからはほど遠い前のお話です。
次にきっかけをくださったのがお世話になっているTさんでした。
「東京のレストランにコーヒーを使っているのに色が白いブランマンジェがあるよ」と教えてくださいました。
その時にKさんからいただいた本に載っていた「ブランマンジェ」を思い出しました。
インターネットで調べると白い大きなお皿の真ん中にちょこんと乗った台形のプリンのようなブランマンジェ。
「素敵だなぁ...」と思っていると「こうやって作るとこういう風にできるよ」と教えていただきました。
なるほど...と思いつつも結局そちらもすぐに取りかかることが出来ませんでした。
次にきっかけをくださったのがホシカワカフェの焼き菓子を作ってくださっているYさんでした。
実は、Yさんが制作に係わったコーヒーブランマンジェは雑誌の表紙を単独で飾るほど有名なものでした。
昨年末僕が入院した際、病院のベッドでテレビを見ていると有名なアーティストの方々が一押しメニューとしてYさん達の「コーヒーブランマンジェ」を紹介していました。
あれは悔しかったです...。奇しくもその日はYさんと初めて会える約束の日だったから...。
でも、そこで火が着きました。
「病院のベッドでくたばってる場合じゃない」と、もう一泊を薦めるお医者さんの手を振りほどき半ば強引に退院。
体力はゼロでしたが「年明けから行動に移さなきゃ」と意気込み、Yさんに連絡し再びアポを取りました。
Kさんからいただいた本を見ながら、Tさんに教わったやり方を何度も試し、ある程度形になったところでYさんに味や柔らかさ、お持ち帰りの用の器の業者さんについてまで何度も何度も相談させていただきました。
時には製菓を学んでいらしたお客さまに「いかにコーヒーの香りを引き出すかの術」を教わったりしながら0.1g単位で変更し試食をしては別のレシピを試す...そんなことをひたすら繰り返して完成したのが今の「白いコーヒーブランマンジェ」の原型でした。
ただ、その見た目はアドバイスをいただいた皆さんから教えていただいたオシャレな白いお皿に乗った台形のブランマンジェでも、薄口のガラスに入ったブランマンジェでもありませんでした。
店内でのご提供方法と食感だけはずっと決めていました。
溶けてしまうほど柔らかい食感を出すと、プリンのように器に盛り付けた時に崩れてしまう...
そこで店内用の器は陶芸家の叔父が作った陶器の物を。口に入った時に優しい口あたりになるようサジはドウグヤタサキさんの手彫りの物を。
誰にも相談せず最初から決めていたアイデアはここくらいです。
ちなみにお持ち帰り用は食感をキープするため冷たい温度を保てる厚手のガラス製で口が狭い物を選びました。
販売を開始してからもお客様の感想をいただき改良を加え続け現在の形になりました。
もちろんこれで終わりではなくこれからも改良を続けます。
先ほど、市役所の商業観光課の方がいらっしゃいました。
その方からたくさんの方々からホシカワカフェを応援していただいているというお話、先日の「くまが屋オブザイヤー」での投票での出来事を伺いました。
特に投票の時のエピソードは本当にうれしかったです。
投票してくださった皆さま、本当にありがとうございました。
先週からのあまりの突然の大きな変化に少し戸惑っておりましたが、皆さまのお役に立てるお店になれるようがんばります。
いつもお忙しい合間を縫って遠くまでいらしていただけるKご夫妻、お世話になっているTさん、Yさん、今回の大会に誘ってくださった商業観光課のSさん、そして投票してくださった皆さま本当にありがとうございます。
長くなってしまいましたが以上が「白いコーヒーブランマンジェ」誕生秘話でした。
コメントする