重大疑惑 なぜ消えた「原発なしでも電力確保」の関電文書
【政治・経済】
野田首相 大飯原発「再稼動」
原発推進派は「原発なしでは真夏の電力需要は賄えない」と、電力不足を煽(あお)って、一気に「大飯原発」を再稼働させるつもりだ。
しかし、再稼働させないと本当に電力が足りないのか疑問だらけだ。ほんの2週間前、関西電力自身が「再稼働させなくても停電しない」と認めていたからだ。ジャーナリストの横田一氏が言う。
「大手メディアはほとんど報じていませんが、5月15日に行われた大阪府市エネルギー戦略会議で、関西電力は『再稼働なしでも停電させないようにする』という方針を打ち出し、資料まで配布しているのです。需給ギャップを埋める具体策や目標値も示した。資料には『吸気冷却装置を設けることで、出力向上運転を行います』などと対策が記され『これらの追加対応策により、停電を回避する』と表明しています」
大阪府市の特別顧問である「環境エネルギー研究所」の飯田哲也氏にも、関西電力の社員から「この夏は再稼働しなくても大丈夫」というメールが送られていた。
関西電力が「大飯原発」の再稼働を断念し、原発なしで夏を乗り切ろうと準備を進め、電力確保にメドをつけていたのは間違いない。なのに、野田首相が強引に再稼働させようなんておかしい。どういうわけか、関西電力も29日になって態度を一変させている。
「大阪府市エネルギー戦略会議が29日に開かれたのですが、関西電力の説明資料から『再稼働なくても停電させない』という文面や数値が消えているのです。原子力村から、圧力がかかったとしか思えない。翌30日に、野田首相が『最終的には私が判断する』と、再稼働にゴーサインを出すと宣言している。タイミングを計ったとしか考えられません」(電力関係者)
なし崩し的な「大飯原発」の再稼働は許されない。本当に電力が不足するのか、徹底的に解明する必要がある。