'12/6/1
飲酒運転事故減少にブレーキ
中国地方5県で起きた飲酒運転事故は、罰則の強化などでここ10年では激減したものの、近年は下げ止まり傾向にあることが31日、5県警のまとめで分かった。背景として、厳罰化の効果の限界と、アルコール依存症の影響を指摘する専門家もいる。
5県警によると、自動車やバイク、小型バイクによる2011年の飲酒運転事故は、岡山132件▽広島111件▽山口37件▽鳥取29件▽島根21件。02年と比べた減少率は山口が82・9%でトップ。残る4県も広島77・2%、島根75・6%、鳥取62・3%、岡山52・3%とすべて半数を下回った。
大幅減の背景には罰則の強化がある。1999年に東京都の東名高速で飲酒運転のトラックに追突され、女児2人が死亡した事故などを受け、01年12月、危険運転致死傷罪が新設された。02年6月には飲酒運転の違反点数を引き上げた改正道交法も施行。03年は前年比で岡山で1割、他の4県は3割近くそれぞれ減少した。
その後も減少傾向は続いた。しかし08年ごろから減少率は鈍化。09年は島根、10年は広島、山口、島根、11年は岡山、鳥取でそれぞれ前年より増加した。今年も4月末現在、広島42件(前年同期比20件増)、山口9件(同2件増)と2県が前年同期を上回るペースとなっている。
こうした状況について、アルコール依存症の治療を専門とする国立病院機構琉球病院(沖縄県金武町)の福田貴博医師は「アルコール依存症の運転者が飲酒運転を繰り返している疑いが強い。厳罰化だけでは根絶できない」と指摘する。