インターネットの利用者が連絡を取り合って遊ぶ「ソーシャルゲーム」。
テレビゲームのように専用の機器は不要で、携帯電話などがあれば無料で始めることができるため、若者を中心に人気を集めています。
(Q.「ソーシャルゲーム」ってやったことはありますか?)
<街の声・女性>
「あります。楽しかったです」
<街の声・中学生男子>
「ちょっとだけあります。レベルが上がっていくところが楽しかった」
<街の声・女性>
「ガンダムのゲームとか。仲間をいっぱい作って戦ったりとか」
ところがその人気の裏に、思わぬ「落とし穴」が潜んでいるというのです。
東京都内に住む大学生の高橋さん(仮名)と瀬尾さん(仮名)。
去年9月から「ソーシャルゲーム」を始めました。
いま、夢中になっているのは、カードを集めて敵を倒すゲームです。
(Q.移動しながらゲームすること多い?)
<高橋さん>
「そうですね、基本的にはいじってます。歩きながらとか、電車の中とか。電車の中はほぼ確実にいじってますね」
ゲームをするだけなら無料ですが、より有利に進めるためには強いカードやアイテムが必要となります。

しかも、それには1回数百円かかるのです。
<高橋さん>
「進んでいくと、どうしても相手が強くなって行き詰まる。そうするとどうしても強くなりたいという気持ちが出てきちゃって。1回300円なんで、まあ、ジュースとかお菓子買った感覚で課金してみようかなって」
最初は軽い気持ちで始めたカード購入のための課金。
ところが夢中になるあまり、事業者からの請求額は膨れ上がっていったのです。
<高橋さん>
「ぼくの場合はだいたい5〜6万円くらい」
<瀬尾さん>
「ぼくは18〜19万くらいいってますね」
その手軽さから利用者が急増している「ソーシャルゲーム」。
ゲームをするだけなら無料ですが、強いカードを手に入れるために課金を繰り返す人が増えています。
去年9月から「ソーシャルゲーム」を始めた大学生の2人。
今年2月までの半年間で高橋さん(仮名)はおよそ5万円、瀬尾さん(仮名)は18万円以上使ったといいます。
<高橋さん>
「ゲーム自体の内容も更新されていくので、それについて行くためには、どんどん自分も課金をして追いついていかなければいけないんで、どうしても(課金が)重なっていっちゃう」
利用明細を見せてもらうと・・・
半月の間に11回課金し、2万円以上を使っています。
<瀬尾さん>
「ボタンクリックすれば買えちゃうので。その感覚で、気づいたらいってたという感じ。意識してないでやってた」
なぜこれほどまで請求額が膨らんだのか。
実は、強いカードを買う時のある仕掛けが原因のようです。
<高橋さん>
「『コンプガチャ』っていうんですけど、みんなそれが欲しくて課金しちゃう」
「コンプガチャ」。
その仕掛けはこうです。
「ガチャ」と呼ばれる有料のくじを引くと、ゲームで使えるカードが当たります。
さらに、決められた組み合わせを「コンプリート」、つまり全てそろえると、より強いカードがもらえるのです。

しかし、カードの出る確率は明かされていません。
カプセルに入った玩具の自動販売機、「ガチャガチャ」をイメージしたもので、「次こそ狙いのカードが当たるのでは」と、ガチャを繰り返し、高額な使用料を請求されるトラブルが相次いでいるのです。

<高橋さん>
「(8枚のうち)残り2枚とかになると、やめるにやめられなくなっちゃって」
(Q,目的のカードはもらえた?)
<高橋さん>
「僕はもらえたことはない」
<瀬尾さん>
「僕もそこまではやってない」
(Q.18万かけてももらえなかった?)
<瀬尾さん>
「そうですね、はい」
「コンプガチャ」を問題視した国は今月、規制に乗り出しました。
<松原仁消費者担当大臣>
「『コンプガチャ』が違法となることを本日明確にし、事業者及び一般消費者に対し、注意喚起をすることといたしました」
「著しく『射幸心』を高めるものは、子供の教育上適切ではないと、私個人的に思っています」

問題視されたのは「射幸心」。
それは、偶然性によって利益を得たいと願う気持ちのことで、「強いカードを手にしたい」という気持ちを煽る仕組みが問題だというのです。
さらに、その射幸心を高める別の原因もありました。
<記者リポート>
「これはネットのオークションサイトです。『ソーシャルゲーム』のカードが出品されていて、現在47件の入札、1枚4万500円の価格がついています」

ネット上のオークションなどで手に入りにくいカードが、高い値段で売られているのです。
消費者問題に詳しい専門家は、こうした行為が「ソーシャルゲーム」の射幸性をより高めていると指摘します。
<消費者問題に詳しい 村上覚朗弁護士>
「たとえば10万円つぎ込んでレアなアイテムを得て、20万円で売れるとなると儲かるわけですね。それは賭博といえば賭博なんじゃないかと」
「ゲームにおいてはルール違反ということになるんですが、それ自体が(法的に)問題があるかといえばそういうわけではない。いま規制はないに等しいですよね」
今月に入って、事業者6社は「コンプガチャ」の廃止を決定しました。
事業者側は「消費者庁の発表を真摯に受け止めた」とコメント。
今後の運用については自主的にガイドラインを作成し、関係各所の意見を反映させるとしています。
しかし、全てのカードをそろえる「コンプガチャ」はなくなりますが、「ガチャ」自体が廃止されるわけではなく、「ソーシャルゲーム」を巡るトラブルは今後も出てくる可能性はあります。
<日本オンラインゲーム協会 川口洋司事務局長>
「『コンプガチャ』は今回はいったん収束すると思うが、またおそらくその解釈のしかたによっては、いろんな事業者がいろんなモデルを考えてくる。そこでいろんな問題が出てくるんじゃないかな思います」
「ソーシャルゲーム」の落とし穴。
そこにはまらないようにするには、今のところ利用者自身が注意するしかないようです。
<中学生>
「ゲームっていうのは暇つぶしのためにあるのであって、その暇つぶしにお金かけているようじゃ、この先心配」
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