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「被爆2世」の白血病で新研究
6月3日 18時3分

「被爆2世」の白血病で新研究
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広島県内で、原爆で被爆した人から生まれた「被爆2世」について、両親とも被爆した人は、どちらかだけが被爆した人と比べて白血病になる割合が高かったことが、広島大学の研究グループによる調査で初めて確認されました。

この研究結果は、およそ12万人の広島県内の被爆2世について広島大学の研究グループが病院の診断記録などから調査し、3日、長崎市で開かれた研究会で発表しました。
それによりますと、被爆後10年以内に生まれたおよそ6万3000人のうち両親とも被爆していた人は1万4000人余りと4分の1以下だったのに対し、この中で35歳までに白血病になった49人のうち、両親が被爆した人は26人と半数を超えていました。
父親か母親だけが被爆した人と比べ、明らかに高い割合で白血病を発症していることが初めて確認されたということです。
被爆の遺伝的影響は、日米共同の放射線影響研究所などが終戦直後から行ってきた調査では確認されておらず、今回の研究がその解明に役立つと注目されます。
研究グループの鎌田七男名誉教授は「遺伝的影響があるかどうかすぐに結論は出せないが、影響の解明に必要なデータの提供はできたと思う。今回のデータを活用してさらに研究を進める必要がある」と話しています。

被爆2世の遺伝的影響の研究

原爆による被爆2世への遺伝的影響を巡っては、アメリカの旧ABCC=原爆傷害調査委員会や、その後継の日米共同の研究機関、放影研=放射線影響研究所がこれまで調査してきました。
戦後まもない昭和23年に始められてからこれまでに出生時の障害や、染色体やDNAの異常、がんの死亡率や生活習慣病などについて分析が進められてきましたが、被爆2世への遺伝的影響は確認されていません。
放影研では「被爆2世は、比較的若いため、今後も影響が見られないとは言い切れない」として現在も調査を続けています。

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