DJホームラン

120527

ノエル・ギャラガーはそこまで悪しざまにMステをdisったのか


ノエル・ギャラガー、ブログでミュージックステーションについて言及する

きっかけは2012/05/27の午前中にRTで流れてきたこのツイートだった。



「ノエルがそんな面白い事を?読まなきゃ!」とウキウキしながら上記ツイートに記載されていたURLに飛んでみると、確かにノエル・ギャラガーはミュージック・ステーションについて言及していた。まさかノエル・ギャラガーがAKB48に名指しで言及する文章が読める日が来るだなんて思ってもいなかったよ。インターネットが有って良かった。


Lord only knows why I was on there

http://www.noelgallagher.com/#inbox/noel/lord-only-knows-why-i-was-on-there


……まあ予想してた事とは言え、あのテレビ番組はどうかしてたね。日本のテレビ番組が実際の所どういうものを目指しているのか理解できねえよ。もっとも俺達の国のトップ・オブ・ザ・ポップス(安らかに眠りやがれ)も似たようなもんだったけどな。

いきなり、日本でのテレビ出演の事をぼやき始めるノエル・ギャラガー。さて具体的には何が「どうかしてた」(原文だとfucking insane)のか。

まるで軍隊みたいに細かいんだよ。例えばさ、連中はこんな風に説明するんだ。

  • 8:34に控え室から出て下さい。
  • 8:37にA廊下に入って下さい。
  • 8:39にこの人と握手して下さい。
  • 8:41から演奏して下さい。

……ってな。で、もっとすげーのが、本当にこのスケジュール通りに進行してるんだよ。時計じかけかっつーの。

日本の生放送の音楽番組のスケジュール進行の細かさに呆れて驚くノエル・ギャラガー。

日本人の連中とも一緒だったんだけどさ、その中の一組がAKB48っていう工業製品じみたガールグループだったんだよ。冗談抜きで13歳から15歳程度のガキが30人ぐらいはいたんだぜ!自分が急にジジイになったような気分だったよ。

原文の"manufactured girl group"をどう訳すか少し悩んだけれど、恐らく「同じようなルックスの若い女のガキがめちゃくちゃ沢山いる」という事に面食らったのだろうと判断して「工業製品」という表現をあててみた。

司会者は気取った老いぼれだったな。ジェームス・ポンドの映画に出てくる悪役みたいだったぜ。

タモさんへの言及。タモさん慣れていない外国人がミュージックステーションにおける彼を指して「気取った老いぼれ」(old dude)と表現している事は興味深い。見た目だけだと、真っ黒な髪をオールバックにしてサングラスで決めた老人だものね。変だよ確かに。

やかましいわ、せわしないわではちゃめちゃだったよ。何だって俺があんな所にいたのか、神のみぞ知る、だな。

ミュージックステーションに対する言及はここまで。


ノエルはどういう心境でブログを書いたのか

僕はそんなに英語が得意なわけでも無いし、ノエル・ギャラガーの人間性についてもロッキング・オンのインタビュー程度でしか知らない。だけど、彼のブログを読んだ時は「ストレンジな経験を冗談めかしてボヤいている」という印象を受けたし、外国人の目から見た日本のテレビ番組のストレンジさの表現に『菊と刀』的な面白みを感じたので、その面白みをシェアするために下のツイートを投稿した。



午前中に上記のツイートをポストするとあちこちで拡散されて数時間のうちにRT数は300を超えた。それ自体は別に良いんだけど、RTした人の中には「AKBざまあみろ」的な反応を示している人がいた事が気になった。文脈から察するにノエル・ギャラガーは「何か似たような奴がいっぱいいる!」という事を指してて"manufactured"と表現しているのだろうし、そこを指摘された所でAKB48は別に痛くも痒くも無いんじゃないかと思ったからだ。


ノエルのブログが2ちゃんねるまとめサイトで取り上げられる

2012/05/27の16時頃、2ちゃんねるでこの件が取り沙汰され始めた。


Mステに出演したOASISのノエル・ギャラガーさん「日本の歌番組はクソだし狂っている。AKB48という粗製濫造アイドルにはビックリした」|はちま起稿

http://blog.esuteru.com/archives/6256076.html


上記リンク先にも、ノエル・ギャラガーのブログの和訳が掲載されているのだけれど、僕はこの訳し方に対して、どうも違和感を禁じ得ない。


例えば、"I was on with a load of Japanese acts"が「俺は一山いくらのクズみたいなジャップの自称ミュージシャンの連中と無理やり共演させられた」になっている。a load ofを「一山いくら」と訳すのはまだしも、「クズみたいなジャップの自称ミュージシャン」だの「無理やり共演させられ」だのは意訳の域を超えていないか?


また、ノエル・ギャラガーはミュージックステーションをfucking insaneだと感じた理由として、最初にやたら細かいスケジュール割の事を挙げているのだけれど、2ちゃんねる訳はその部分を完全に省略している。そこは拾ってあげようよ。ノエルは原文ではわざわざ"You will exit the dressing room at 8:34"みたいに分まで几帳面に記載して、スケジュールの切り方の細かさをボヤいてるんだから。


あとさ、"it’s quite difficult to know what these Japanese shows are actually supposed to be about"を「なんでこんな番組が日本で支持されてるのか理解できない」って訳してるのがよく分からない。まさか、supposeをsupportと見間違えてる?


2ちゃんねる訳に関してはTwitter上で@yaokidodoki氏もこのような違和感をツイートしている。




僕が2ちゃんねる訳に対して抱いている違和感を表現すると、ノエル・ギャラガーをだしにAKB48を必要以上に叩こうという訳者の意志が透けて見えるし、その意志が原文のニュアンスを若干歪めているように思うのだ。そして、その歪んだ訳が一人歩きして、原文を読まずに面白がる人々が現れる事に対して「嫌だなあ」と思っている。それはAKB48が不必要に批判されるから嫌なわけでは無い。ノエル・ギャラガーが「言ってもいない事を言った」みたいな形になる事が嫌なんだよ




あ、念のため言っておくと、おれ、AKB48のファンでは無いですよ。ファン相手にめちゃくちゃなCDの売り方をしてる事とかは別にどうでも良いけど、コンビニエンスストアの有線放送などから、トラックもメロディもあまりに雑な作りの曲が耳に入ってきて嫌な思いをした事は幾度も有るから「閉じられた世界の中だけでやっててくんねえかなあ」と思ってるようなスタンスの人間です。でも、それはそれ、これはこれなんだ。

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