「高校無償化」、オモニ会OGらが文科省に要請

本来の趣旨に沿って適用を

東京、神奈川、西東京、千葉、埼玉の各朝鮮学校オモニ会OGら9人が5月31日、文部科学省を訪問し、朝鮮学校に対する「高校無償化」制度の即時適用を訴えた。また野田佳彦首相、平野博文文科相に宛てた要請書を関係者に手渡した。

文科省関係者を前に、制度の即時適用を訴えるオモニ会OGら

一行は席上、「無償化」の適用審査結果が未だ先延ばしされている事態に強い憤りをあらわにした。

李順姫さん(54、西東京)は、「『高校無償化』制度を実施したそもそもの目的を考えてほしい。これまで幾度となくこうした要請活動に参加してきたが、その都度、文科省関係者は『審査中』の一点張りで現状に対する説明は何もなされない。なぜ朝鮮学校のみが除外されているのか明確な理由を述べてほしい」と強く求めた。

金明美さん(57、埼玉)は、「私の子どもたちはみな埼玉朝鮮初中級学校を卒業した。親として子どもたちの成長を実感しながら、教育や道徳観のみならず自己の民族的アイデンティティーを育んでくれる民族教育に常に感謝の気持ちを抱いてきた。それなのに『無償化』問題が浮上して以降、(朝鮮学校への差別的風潮が助長されて)これまで同校に支給されてきた埼玉県の助成金まで凍結された。現状は、制度実施以前より厳しくなっている。朝鮮学校の子どもたちは、差別を受けなければいけないような悪いことは何もしていない」と述べた。

朴京愛さん(53、神奈川)は「子どもたちにつらい思いをさせたくないと、これまで何度も文科省に足を運んできた。朝鮮学校の生徒たちも、街頭宣伝や署名活動を行ってきた。『無償化』制度はそもそも、保護者の金銭的負担を軽減して全ての子どもたちが勉学に打ち込めるようにと実施されたもの。しかし、現状のどこが勉学に打ち込める状況なのか。適用に向けて審査中だと言うが、一体どれだけ真剣にこの問題と向き合っているのか。保護者や生徒たちと同じぐらい本気で問題解決に努めてほしい」と話した。

厳広子さん(49、東京)は「本来なら『第1期受給生』となるはずだった私の息子は、『無償化』の恩恵を受けることな朝高を卒業していった。来年には、娘が朝高に入学する。5歳も年の離れた兄妹に、同じような差別体験をさせたくない。自分が朝鮮人であるという理由で、存在を否定されるような社会で生きていってほしくない。子どもたちのためにも、一日も早く正しい結論を出してほしい」と語った。

(周未來)