ページ内移動リンク


鳴るほど♪楽器解体全書
ハーモニカ第2回
ハーモニカの音の原理
リードは繊細
リードは繊細

設計担当の山下茂夫(やましたしげお)さんによると、ハーモニカは吹く楽器なので、どうしてもリードのピッチ(音の高さ)はズレがちなんですって。だからプロの方には自分でカバーを開けて、カッターやヤスリを手にリードを調律する人も多いようです。

このページに掲載されている情報は2005年11月現在のものです。

TOPICS
リードの発音原理 【空気の流れと振幅】
音を高くするには? 低くするには? 【長さも幅も削り具合も】
熟練技へのこだわり 【リードの精度が大切】
音の実験をしてみました 【リードの先を重くすると・・・】
第1回へ
第3回へ
掲載楽器一覧へ
  リードの発音原理
 
山下茂夫さん写真
山下 茂夫さん
息を吹き込んで、自分の意志を込めた音が奏でられる楽器です

♪リードが振動する時、空気はどう動くんですか?

「前回、リードの下のプレートには長方形の窓が開いていると話しましたよね。窓はリードより一回り大きくて、左右は0.03ミリくらい、先端は0.1ミリくらい隙間(すきま)があります。リードと窓の関係図を見てください」
  発音原理の図
  「この状態でマウスピースから息を吸うと、空気は上から一方向に流れます。この時、窓の中を流れる空気速度と、リードの上側を流れる空気速度では、窓の中を流れる空気速度の方が速いため、圧力差が生じます。狭い所を通ると気圧が下がるんです。それでリードは窓側に吸い寄せられ、下に曲げられます。
一時、空気の流れは分断されますが、リードの弾性によって元の状態に戻り、この2つの動作の繰り返しでリードは上下に振幅(しんぷく)します」

♪上にも下にも同じ距離、振れるんですか?

「そうです。リードが上下すると窓は開閉し、窓から出入りする空気の流れは周期的に継続します。また、リードの振動によってリードの周りの空気も周期的に振動します。これらの振動が集まって疎密波が発生し、空気中を伝播(でんぱ)して耳に達し、音として聞こえるんです。ちなみにリードの振幅が大きくなるほど音量は大きくなるんですよ。
では、仮に、厚さ1ミリのプレートが2ミリになると、振幅はどうなると思いますか?」

♪振幅しにくくなるような・・・

「反対なんです。プレートが厚ければ厚いほど、窓を空気が抜ける量は増えて、振幅が大きくなります。つまり、音量も大きくなるんです」

♪それは意外!

「ただし、リードが小さい場合はプレートがあまり厚いと振動しにくくなりますので、リードの大きさによって厚さには限度がありますが・・・。また、材質についてはプレートもリードも真鍮(しんちゅう)、すなわち黄銅(おうどう)を使いますが、リードには特に楽器弁用黄銅という、錫(すず)を0.7%前後含み、弾性を高めた金属を使っています」
ページTOPへ
  音を高くするには? 低くするには?
 

♪音の高さは何で決まるんでしょう

「まず、リードの長さです。低音から高音にいくほど長さはだんだん短くなっていきます。目で見ても差がわかりますよ。2番目はリードの幅。高音の方が微妙に狭くしてあるのが普通です」
左側の低音の方がリードが長い
左側の低音の方がリードが長い
 

♪幅はかなり微妙ですね

「さらに重要なのは、厚みです。リードが単純な板だと発音状態が良くないため、中央部分を削ってなだらかな曲面に仕上げてあります。また、根元と先端の部分はあまり削らず厚く残しておき、調律時にここを削って音の高さを微調整します」
  リードの上面図・断面図

♪厚みで微調整! もともと薄いのに大変そう

「それに低音部の先端については、重りの役割も果たします。リードを長くする代わりに削り残すことで先端を重くして音を下げるんです。低音部のリードは何本か同じ長さになっていて、重りで音程を変えています」

♪なぜリードを長くしないんですか?

「演奏性や持ち運びやすさを考えると、できるだけコンパクトにしたいからです。いつでもどこでも手軽に吹けるのがハーモニカの魅力ですからね」
ページTOPへ
  熟練技へのこだわり
 

♪音の質はどこで変わりますか?

「いろんな要素がありますが、リードの上がり具合もとても大切です。キュッと直線的に上がっていてもいけないし、途中でプレートに潜っているのもいけません。リードの先にも適度な高さが必要です。リードの先とプレートの距離は、リードの先端の厚みと同じに揃(そろ)えるのが目安で、それより低いとリードが窓に吸い込まれてしまい、音が鳴らなくなります。逆にそれより高いと反応が鈍くなって、すぐ音が出てくれません」
  リードとプレートの断面図
 

♪上がり具合はどうやって調整を?

「一弁一弁、横から見ながらなだらかに反るようにペンチでしごき、ていねいに整えていきます。バネ性があるので機械ではうまくいかず、今も熟練した人の手で行っています。
冒頭にお話したリードと窓の隙間についても、リードが当たらずちょうど真ん中に収まるようにきっちりと調整します。0.03ミリの隙間が0.05ミリになったら、隙間から空気がもれてしまって音の立ち上がりが遅くなり、鳴りにくくなるんですよ」

♪精度にシビアなんですね

ページTOPへ
    音の実験をしてみました
ハーモニカのリードは音を発する発音体であり、音の高さも決めているとのこと。とっても大事なパーツなんですね。リードに少しだけ手を加えて、音の高さを変えることに挑戦します!
リードの重さと音の高さの実験
リードは平らじゃなく、中央がえぐれてるんだね
根元と先端が厚いのよね
先端をもっと厚くしたらどうなるかな
重くなるから振動しにくくなって・・・
音の高さが変わるはず!
実験の手順
【1】 カバーを外す
【2】 見えているリードから1つ選び、吸って鳴らす
【3】 【2】のリードの先端に2ミリ角のビニールテープを貼(は)って鳴らす
【4】 さらに2枚目、3枚目を貼り重ねて音を鳴らす
カバーを外し、リードに赤いビニールテープを貼る
カバーを外し、リードに赤いビニールテープを貼る
実験の結果
実験
貼ってない状態(通常)
1枚貼った状態
2枚貼った状態
3枚貼った状態
実験の結果を視聴するためには、最新のフラッシュプレーヤーが必要です。
※ 実験による録音のため正しい音程と異なっております。
♪内側に隠れている、吹くと鳴るリードにはビニールテープが貼れないので、全体が見えている、吸うと鳴るリードを実験の対象にしました。低音から高音までリードはいくつもありますが、低音の長くて大きいリードよりも、高音の小さいリードの方がビニールテープを貼った時に変化量が大きくなって音への影響が大きいはずなので、右から4番目にある高音の「レ」で試すことにしました。
そのまま吸って鳴らすと「レ」の音です。次に、2ミリ角のビニールテープを1枚貼ると音が下がり、低めの「ド♯(シャープ)」になりました。機械で測った数値でいうと下がったのは125セント。半音は100セントですから、半音とその4分の1下がったことになります。続いて2枚目を貼り重ねると、さらに100セント下がって低めの「ド」になりました。最初の「レ」からマイナス225セントです。そして3枚目を貼り重ねると、さらに125セント下がって「シとシ♭(フラット)の間」になり、最初の「レ」から数えてマイナス350セントになりました。1枚貼るごとに半音以上、どんどん音が下がったんです! こんなに音の高さが変わるなんて、びっくりしました。
しっかり音を合わせたら、ハ長調のハーモニカでも♯や♭のある曲が演奏できそうです。
山下茂夫さん写真
「ビニールテープはけっこう質量があり、ずいぶん音が変化しましたね。リードは先端が重くなると振動が遅くなるので音の高さが低くなります。テープの位置をもっと先端にしたら、より影響が大きくなったでしょう。
この実験では厚みを増やしましたが、実際の音合わせの時は金属の板を削りながら音を合わせます。先端を削って軽くして音の高さを上げていくんですが、低音のリードに比べて高音のリードの方がちょっと削るだけで大きく変化します。もしも削りすぎてしまったら、根元を削って微調整するんですよ」
 
  リードに驚くほど多彩な工夫がしてあって
いかに大切なパーツか気づかされました。
普段使っている時にはカバーもあり、
リードを傷めることはよっぽどなさそうですが
もし分解する時には細心の注意を払いましょう。
第1回へ 第3回へ 掲載楽器一覧へ
ページTOPへ
  ものしりエピソード
    ヤマハ製品ページ/ハーモニカ
サクサクFAQ
  おんがくういくりへ

ページの先頭にもどる