サンデー・トピックス:阿寒湖のマリモ 世界遺産へ動き活発化 科学的根拠の調査、保全態勢…登録へは長い道のり /北海道
毎日新聞 2012年06月03日 地方版
推薦書の提出後はIUCNが詳細に現地を調査し、登録の可否を審査。結果を世界自然遺産委に報告するが、落選すれば二度と審査対象とはならないため、「敗色濃厚」と察した候補地の中には立候補を取り下げ、雪辱を期す例もある。
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■ことば
◇阿寒湖のマリモ
淡水生の緑藻類で、1897(明治30)年、札幌農学校(現・北大)学生の川上滝弥氏が湖西部のシュリコマベツ湾で発見。その球状にちなみ翌98年「毬藻(まりも)」の和名を付けた。形の珍しさや限られた生育分布ゆえ、早くから学術的に貴重とされてきたが、森林伐採や水力発電に伴う湖水面の低下、水質の悪化などで著しく減少。湖内4カ所の群生地も2カ所に減ったが、住民による保護活動で存亡の機を乗り越えてきた。日本を含む北半球各地で生息が確認されるが、球状マリモが群生するのは阿寒湖とアイスランド・ミーヴァトン湖の2カ所。直径30センチほどにまで生長するのは阿寒湖だけ。