和の心伝え続けたい ドナルド・キーンさん講演
同志社アーモスト館開館80周年記念講演会が2日、京都市上京区の同志社女子大であった。米コロンビア大名誉教授で、3月に日本国籍を取得した日本文学研究者ドナルド・キーンさん(89)が、約1500人を前に日本や京都への思いを語った。
アーモスト館の学生寮出身者でつくる同志社アーモストクラブが開いた。講演会ではキーンさんと、冷泉家時雨亭文庫理事長の冷泉為人さん、同大名誉教授の北垣宗治さんの3人が意見を交わした。
京都大大学院留学中の思い出についてキーンさんは「たんすが欲しくて夷川通を歩いたりした。60年前の知識です」と話せば、北垣さんは「キーンさんは変わった人。京都の冬が好きというので聞けば『修学旅行生がいないから』と言った」とのエピソードで会場の笑いを誘った。
日本の感性は日本人にしか分からないかと問われたキーンさんは、源氏物語が世界中で読まれていることを挙げ「伝えられると信じている」と答えた。戦後、日本文化が米国やヨーロッパで受け入れられてきた例も紹介し「自分の仕事もそうした傾向を進めたのではないかと思いたい」と語った。
最後に東日本大震災に触れ、「東北の災難を絶えず考えている。日本人は同じ日本人のためにやるべきことがある。私も何かやりたいと思っている」と締めくくった。
【 2012年06月03日 12時18分 】