「1000ウォン(約67円)の現金と1000ウォンの商品のうち、どちらか一つを選んでくださいと言われたとき、迷わずわれわれの商品を選んでもらえるようにすることが、均一価格店の目標です」
国内最大の1000ウォン均一ショップ「ダイソー」を運営するダイソー・アソン産業の朴正夫(パク・ジョンブ)会長(68)は、本紙とのインタビューで「“安物”ではなく、“顧客が買いたがる商品”を売ること、そうした価値を創造していくことが均一低価格ショップを成功に導く」とし、このように話した。そのためには、油断せずに「価格との戦争」を続けなければならないと付け加えた。「現金1000ウォンの価値」はかなり低いが、「顧客が期待する価値」を満たすためには、革新的な商品を絶えず発掘し、開発していかなければならないというのだ。また、2万種類を超える商品を品切れになることなく、納期を守って全国750店舗に供給することも重要な要素だという。大量生産する工場のコンベヤーベルトと同じで、在庫切れで商品を販売できなくなると、即座に損失につながるためだ。
昨年、ダイソー・アソン産業は売り上げ6000億ウォン(約403億円)を計上した。1000ウォンの商品を6億個、1店舗当たり年間80万個、1日に2500個を売ることで達成できる実績だ。朴会長は「売り場は生き物と同じで、絶えず在庫を切らさずに店舗を回転させる通常のシステムも重要だが、これに加え、毎月500種類の新商品も同時に供給していかなければならない」と話す。
朴会長は「低価格商品の開拓者」と呼ぶに値する人物だ。1988年に韓日マンパワーを設立し、日本の「100円ショップ」の代名詞ともいえる「ダイソー」が販売する海外商品の3分の1を供給した。昨年だけでも日本に1900億ウォン(約127億円)、5億個の商品を輸出した。このようなことが可能だったのも、他の業者が安い製品を求めて中国に殺到していた時期、ポーランド製の「耐熱やかん」やインド製の「黄銅インテリア」のように、特定の製品を最もうまく作れる国を求めて飛び回り、28カ国2000社ほどの業者を結ぶグローバル・ソーシング体系を確立したためだ。世界中を駆け巡る同会長の航空会社のマイレージポイントは、地球を60周回る距離(240万キロ)に匹敵する。
1988年に事業を始めた時と24年が過ぎた現在を比べて「1000ウォンの価値」がどのように変化したのか、朴会長に質問した。同会長は「技術の発達と革新によって、たゆまず価値を高めてきた歴史だ。最先端の製品と同様に、生活用品でもそうした革新を最もうまく続けていける国が生き残るはず」と話した。さらに「現在ダイソーで最もよく売れている90個入りの紙コップ(1000ウォン)は、全て韓国で生産されているが、これは中国よりも安い。ダイソーが販売する商品のうち半数以上が韓国製だが、これはわれわれの製造技術と革新性が高まっている証拠」と笑みを浮かべた。
朴会長は現在「システム革新」に乗り出している。物流コストの削減に向け、国内単一企業(物流企業を除く)としては最大規模となる9万5000平方メートルの物流センターを、1000億ウォン(約67億円)を投じて京畿道竜仁市に建設している。竣工予定は10月だが、工期の短縮を目指してドイツに発注した最先端のオートメーションシステムをあらかじめ持ち込み、他の施設で試験運転を行っている。最後に同会長は「顧客が“こんなものがあったらいいのになあ”という物を先に作り、安く供給するための改革と価値を創造していくマインドを持ち続けることが大切」と話した。