■つぶやくデジ記者・神田大介
いま日本のネット界で、最もホットな新聞は。朝日新聞デジタルと言いたいが、たぶん「虚構新聞」だろう。「原寸大スカイツリーのプラモデル発売、64億円」など、うそニュースを並べるサイトだ。
最近、「橋下徹・大阪市長が小中学生にツイッター利用を義務化する」という記事が炎上した。題字に「虚構」と書いてあるのに、「デマを流すな」と怒る人と、それを「リテラシーがない」と批判する人で論戦が交わされた。
虚構新聞の社主を名乗るUK(ユーケー)氏に話を聞いた。滋賀県在住、30代前半の塾講師の男性。「なぜ今になって、しかもこの記事が、と意外でした」。2004年から約600本のうそ記事を書き、もっと不謹慎なネタもあるが、こんな炎上騒ぎは初めて。腹痛と食欲不振で体重が落ちたという。
ツイッターの普及で、ネットの空気が変わったと感じているそうだ。「情報の拡散が爆発的に速くなった。開設時のアクセスは1日数百人程度だったのが、今回は10万人。どうにもできず、滝のように流れる関連ツイートをぼうぜんと眺めていました」
「ニセ記事とわかりやすくしろ」との批判もあったが、スタイルは変えずに続けるという。「お笑い好きなんですが、今のテレビは当たり障りなくなってしまった。ネットには、人を選ぶ辛口の言論も残るべきです」
同感。それにしてもネット言論界って、自分でネタを作らず、何かに乗じて理屈を並べるツッコミ役ばかり。虚構新聞のようなボケ役は貴重なんだから、もっと大事にしましょうよ。