ドイツの「宝物」が初のゼロ金利に、市場はユーロの溝を不安視
[東京 31日 ロイター] 欧州懸念がさらに強まり「質への逃避」が一段と進んでいる。株式や高金利通貨、商品の価格が下落する一方、日米独の国債の利回りはさらに低下。ドイツの2年物国債は初めてゼロ金利にまで低下した。
スペインと、その金融問題の支援に及び腰な欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)との「溝」は深いと受け止め、先行き不透明感を嫌った投資家が安全資産への資金逃避を加速させている。
<安全資産は「宝物」>
ドイツの2年物国債は「シャッツ(Bundes Schatz)」と呼ばれる。「Schatz」とはドイツ語で「宝」や「財宝」の意味だ。その2年債の利回りは低下を続け、30日の市場ではついに0.002%まで低下、史上初めてほぼゼロ金利となった。
ほとんど利息がつかない水準まで買い進める投資行動の背景には、ギリシャやスペインなど欧州問題への恐怖感がある。「先行きがあまりに不透明。金利はいまや関係ない」(国内投信)。現在のマーケットで「安全」は「宝物」だ。
欧州債務問題はギリシャだけでなくスペインやイタリアにも広がっている。「ギリシャだけなら欧州金融安定ファシリティー(EFSF)など現在の安全網で対応可能だが、スペインはユーロ圏第4位の大国。イタリアなどにも問題が広がればとても対応できない」(T&Dアセットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏)。
スペイン10年債利回りは6.74%まで上昇しており、自力で国債を発行し資金調達することも難しくなっている。
また、支援が期待されるEUやECBとスペインの「溝」が深いと受け止められていることも、マーケットの不安材料だ。市場ではスペインの金融問題が深刻化すれば資金は足りず、国際支援に頼るしかないとみられているが、ラホイ首相は支援は必要ないという強硬な姿勢を崩さない。EUやECB側からもスペイン支援には積極的な声が聞かれない。 続く...