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大熊町「5年帰還しない」宣言へ 生活基盤整わず
福島県大熊町の渡辺利綱町長は、福島第1原発事故で避難している全町民が今後5年間は町に帰らない「帰還しない宣言」を6月中にも出すことを決めた。町民の約95%が住民登録している地域が、長期間生活できない帰還困難区域(年間放射線量50ミリシーベルト超)に指定される見通し。このため、残り約5%の町民も生活基盤が整わず、暮らすことができないと判断した。
役場機能を移した会津若松市で1日あった町議会全員協議会で、渡辺町長が明らかにした。町議会の議決を経て宣言する。 町によると、帰還困難区域は全町民約1万1500人のうち約1万900人の地域が指定され、5年以上の町外避難が法的に義務付けられる。残り約600人の地域は、一時帰宅できる居住制限区域(20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)、早期帰還を目指す避難指示解除準備区域(20ミリシーベルト以下)になる見通し。 渡辺町長はこうした状況について「町役場も医療福祉機関もなく、帰っても生活できない」と判断。帰還しない宣言に関しては「町民の理解も得られる」と述べた。 町は全域を帰還困難区域にするよう政府に求めていたが、区域によって町民への賠償額に差をつけないことを条件に帰還困難、居住制限、解除準備の3区域に分ける政府案を受け入れる。 町は町民が役場機能と共に別の市町村に一定期間集団移住する「仮の町」をつくる復興計画を検討している。渡辺町長は「帰還は目指すが、それまで10年、15年と安心して住める居住環境を整備したい。国、県に働き掛け、モデル地区を造る」と語った。 住民の帰還をめぐっては、避難区域に指定された福島県川内村が1月に帰村宣言を出し、村民に帰還を促している。
2012年06月02日土曜日
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