メモリアルとは、そのイベントを振り返るキャラクターからのコメントの事を指します。


はあ、今日も疲れたなあ。まだ半分しか終わってないのか……(それは丁度数十分ずつ各自に与えられた昼休憩中のこと。ぺりりと破いたビニールから顔を覗かせるホットドッグは空腹を満たす為先刻売店にて購入したもの、いざ齧り付かんと口を開けた矢先――)ああっ!おいこら待て!(公園と言う場所が悪かったのか、されど今のこの時代にまさか野犬に食事を奪われる事になろうとは。慌てて追いかけようと腰を上げるも武器も何もない状況下易々と追い付けるわけもなく、数十秒もしない内に一人項垂れる五味の姿が窺える筈である。)

 …ゴミ?お前何やってるんだよ。(呆れ顔を浮かべながら彼に声を掛けたのは色林誉、軍で伍長の地位に就く男は昼休憩の間に何処か静かな場所で本でも開こうかと、この公園にやってきた様だ。ふと眼前に映るは五味一等兵、犬と追掛けっこを行う一部始終を無言で眺めていた後に、項垂れる彼へやれやれといった様子で歩み寄り。)犬っころに昼飯取られたのかァ〜?てめェそれでも軍人かよオイ。アレだったら俺が直々に鍛え直してやっても良いが、本当にお前はゴミだな…ったく。ゴミならゴミ箱らしく、ほら、これでも処分してろ。(そう言い乍彼へと紙袋を押し付けるのか。処分しろと言いながら手渡す其の紙袋の中にはフランスパンが数本入っているのだろう。)

く、くそお……うわっ!?(上唇下唇の隙間から漏れ出た声は随分と情けなかった。更に追い打ちをかけるかのように突如の人影へとびくり体を震わせれば恐る恐る振り返った先、)……し、色林伍長!?あっそうですよね本当その通りだと思いますすみませんゴミで……おれも犬もろくに倒せないなんて思いもしてなくて……わ、わあ!(押し付けられた紙袋に驚きを顕にして瞬いたのは急な行動よりもその中身を瞬間的に察知した所為。まさかこのような展開が待ち受けていようとは。フランスパンと彼を交互に見遣った結果、「ありがとうございます……?」と心底不思議そうな台詞を吐くのだがその真意は未だ半信半疑と言った所であろう。)

……あの色林伍長は幻だったのかな?それともいつもの色林伍長が幻なのかな?ってこんな事うっかり言っちゃうから怒鳴られるのか……いやしょうがないんだけどさおれ間違いなくゴミだから……。それにしてもあの時のフランスパンおいしかったなあ、どこの店のやつなんだろう。今度機嫌が良さそうな時に聞いてみよう。いやあそれにしても助かったよ本当に、ちゃんとお礼しなくちゃ。

ある日の暮方の事である。一人の下人げにんが、羅生門らしょうもんの下で雨やみを待っていた。 広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗にぬりの剥はげた、大きな円柱まるばしらに、蟋蟀きりぎりすが一匹とまっている。羅生門が、朱雀大路すざくおおじにある以上は、この男のほかにも、雨やみをする市女笠いちめがさや揉烏帽子もみえぼしが、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。