薄日差す　ＬＡ高級住宅市場 (3/4ページ)

　成約件数の伸びがもたついている理由の一つは、売り物件の不足にある。３月に売りに出された物件は全米で約２３７万件と、３月としては０５年以来最低の水準だ。「在庫があれば２倍は売れたはずだ」とリーボヴィッチ氏は語る。

　４月にロサンゼルスを含む南カリフォルニアの６つの郡で販売された住宅およびコンドミニアムの合計販売件数は１万９２８４件。これは前月比で３．４％減、１９８８年以来の４月の平均と比べると２１％下回っている。

　高級住宅への需要増は投資収益を目指す不動産投資家も牽引（けんいん）している。ここ２年ほど市場から姿を消していた買い手グループだ。リンチさんの自宅の売却を手掛けた不動産フランチャイズ、コールドウェル・バンカー・プレビューズ・インターナショナルのジョイス・レイ氏は、担当する買い手に占める投資家の割合が年初来で２０％上昇したと話す。

　南カリフォルニアの住宅購入に占める投資家の割合は５月、過去最高に迫る勢いを見せた。現金決済は過去平均の２倍に達している。「投資家顧客を担当するのは０７年ぶりだ」とレイ氏は投機筋が戻ってきた手応えを感じている。

　◆年代物の需要伸びる

　不動産投資家の市場への回帰は大規模改修が必要な住宅への需要も押し上げている。

　ブレントウッドの２万５０００平方フィート（約２３２３平方メートル）の敷地に建つとある住宅は、過去５０年以上売りに出されていない取り壊し寸前の物件だった。１９３０年代のキッチンと浴室がそのまま残っているこの家は、３月末に５４９万５０００ドルで売りに出されたが、５件の購入希望が寄せられ、うち最高値は５６０万ドルに達した。売り主が５６９万５０００ドルのカウンターオファーを提示すると、５７０万ドルの買値が２件入り、最終的に５７５万ドルまで引き上げた買い手が競り落とした。