サッカー:スペイン戦はカタール戦の「予行練習」と言えるのか

両チームのスタイルや試合開催地の気候に大きな違い

 果たして実効性のある「予行練習」だったのか。

 サッカー韓国代表が、2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会アジア最終予選を前に行ったスペインとの親善試合の実効性をめぐり、論議を呼んでいる。国際サッカー連盟(FIFA)ランキング1位のスペインとの試合は、アジア最終予選第1戦となる今月9日のカタール(同84位)戦を前に行われた唯一の実戦で、事実上の「予行練習」だった。しかし、世界最強のスペインの個人技や華麗なパス回しに翻弄された韓国は、攻撃も十分にできないまま大敗を喫した。

 明知大の辛文善(シン・ムンソン)教授は「韓国代表はカタール戦で、スペイン戦とは全く異なる攻撃的戦術で試合を展開するはずだ。今回のスペイン戦が何の役に立つのか」と指摘した。また、崔康煕(チェ・ガンヒ)監督もスペイン戦を前に「スペイン戦をカタール戦の予行練習としなければならないが、両チームはスタイルが全く違う」と悩みを打ち明けたことがある。

 スペイン戦が行われた場所もまた疑問だ。スイスはカタールとの時差が1時間のため、時差ボケを防ぐという点ではメリットになるかもしれないが、40度を超す蒸し暑さが予想されるカタールとは気候が大きく異なる。

 大韓サッカー協会は、今年3月に趙重衍(チョ・ジュンヨン)会長がスイス・チューリヒのFIFA本部で審判委員長を務めるスペインサッカー連盟のアンヘル・マリア・ビジャール会長と会い、苦心の末に今回の親善試合を実現させたという。同協会は当初、スペイン戦の前に欧州組を早く招集することで、2週間近くにわたる調整が可能だと予想していた。崔監督も「国内組はKリーグの試合があり、また5月29、30の両日にはアジア・チャンピオンズ・リーグ(ACL)の決勝トーナメントも行われるため、国内組の招集には限界があり、スペイン戦では海外組を中心にチームを組む」と表明していた。だが、1次代表チームの招集に応じた海外組は6人にとどまり、十分な調整が行えなかった。スペイン戦は趣旨こそ立派なものだったが、W杯最終予選を控えた韓国代表の競技力の向上という目標とはかけ離れた結果となった。

チョン・ビョンソン記者
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