ニュースの匠:検察官の虚偽報告書=鳥越俊太郎
毎日新聞 2012年06月02日 東京朝刊
私が今、国井検事以上に問題だと思い、適格審査にかけるべきだと思っている検察官がいます。それは東京地検特捜部の元検事、田代政弘・現法務総合研究所教官です。田代検事は陸山会事件にからむ検察審査会の2回目の「起訴相当」議決の前に、審理の資料として「捜査報告書」を提出しましたが、その中に重大かつ明白なウソが書かれていたのです。
田代検事は小沢一郎民主党元代表の元秘書、石川知裕議員から事情を聴いた後、石川議員が「『11万人の選挙民の支持で議員になったのにうそをつけば選挙民を裏切ることになる』と(田代検事に)言われたことが効いた」と、元代表の共謀を認めた供述をしたという「捜査報告書」を作成。検察審査会はこの虚偽にひっかかったのか2回目の「起訴相当」を出し、元代表は強制起訴され、現在も被告の立場にあります。
朝日新聞が一番熱心ですが、田代検事は不起訴処分の方向だ、と検察当局の意向を伝えています。国井検事の沈黙より田代検事の虚偽報告書の方がはるかに悪質です。こちらこそ適格審査にかけるべきでしょう。