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除染実験効果あり セシウム濃度50分の1に 飯舘・比曽

除染実験を行った田んぼに立つ菅野さん(右)

 福島第1原発事故で計画的避難区域となった福島県飯舘村の比曽地区で、住民が自ら取り組んできた田んぼの除染実験により、土壌中の放射性セシウム濃度が約50分の1に低下したことが確認された。住民らは「今後の除染計画の説明会で地元から提示し、より効果が期待でき、地域に希望が生まれる除染方法の検討を訴えたい」と話している。

 実験を行ったのは前比曽区長で、福島市に避難中の農業菅野啓一さん(57)。5月12日、自分の田んぼに設けた約50平方メートルの実験区画で小型ショベルカーを使い、深さ5センチまで表土を削り取った。
 セシウム濃度の計測には、同村佐須地区の農家とともに多様な除染実験を行う科学者らのNPO「ふくしま再生の会」の専門家が協力した。
 土壌1キログラム当たりの放射性セシウムは実験前、深さ2センチ未満で約21000ベクレル、2〜4センチで約5000ベクレルだったが、表土をはぎ取った後はそれぞれ428ベクレル、348ベクレルに低下し、国のコメ作付けの目安(同5000ベクレル以下)を大幅に下回った。
 菅野さんら比曽の住民は、再生の会の協力を得て4月から計6日間の徒歩による地区全域の放射線量測定、計26カ所の土壌中のセシウム量測定(深さ5センチ)を行い、独自のマップも作っている。
 「住民自らが地元の実態を調べ、共有することから再生への取り組みを始めたい」(菅野さん)という思いからだ。
 村内の除染は国直轄で今後、地区ごとに具体的な計画の説明会が行われる見通しだ。国は昨年9月、セシウム濃度や地下水の状況に応じ、推奨できる農地の除染方法として水による攪拌(かくはん)や表土のはぎ取り、反転耕など、大型機械や固化剤も用いた除染方法を公表した。
 菅野さんは「地元が協力する以上、一律のやり方でなく、より効果があり、住民が希望の持てる方法を一緒に検討してほしい。今回の実験結果も、その事例として提示したい」と話している。


2012年06月02日土曜日


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