秘密会議:「新大綱」議案も配布 原子力委は虚偽説明
毎日新聞 2012年06月02日 02時33分(最終更新 06月02日 02時34分)
現行の大綱(05年閣議決定)作成準備期間中の04年にも、少なくとも10回秘密会議が開かれていることが分かっている。近藤駿介・原子力委員長は04年会議の主催者であり、当時「表に出た瞬間に勉強会をやめる」と発言したとされる。使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し高速増殖炉(FBR)で使う核燃サイクルという大綱の核心部分の一つについて話し合った事実も判明しているが、近藤委員長は「大局的なことを議論する集まりならばいいのかなあと思った」(5月29日、記者団に)などと問題の深刻さを理解しているとは思えない発言を繰り返している。
秘密会議が昔も今も、表の会議を巧妙にコントロールするシステムである事実が浮かび上がろうとしている。5月29日の原子力委の定例会議で鈴木達治郎・委員長代理は「委員会始まって以来の危機」と語り信頼回復を急ぐ方針を表明した。的を射た発言だが虚偽説明が発覚しては額面通りに受け止められない。委員会のあり方の根幹にかかわる重大局面と言える。【小林直】