ＪＲ石勝線の特急脱線・炎上事故から１年。事故は列車車両下部の減速機を支える金属部品「つりピン」の脱落が発端になったとされるが、つりピンを固定・補強していたナットと「割りピン」２本がいまだ見つかっていない。国土交通省運輸安全委員会と道警の原因究明の調査が長期化する中、ＪＲ北海道は車両検査を強化する一方、事故の遠因とも指摘されている社員の年齢構成の偏りによる技術・技能不足の克服に取り組んでいる。【伊藤直孝、佐藤心哉】

　■捜索３５０キロ

　脱落したつりピンは動力伝達装置の減速機を台車に固定する重要部品。ナットで締められ、先端部が二つに割れた「割りピン」（長さ７〜１４センチ、直径６〜８ミリ）２本が前後に差し込まれ、車両の振動にも十分耐えられるよう設計されている。

　だが、事故では４両目のつりピンが脱落。関連部品が相次いで落下し、車両が乗り上げ脱線事故が起きたとみられている。

　割りピン、ナットは事故２日前の５月２５日の目視検査では異常がなかったことが確認されている。道警は事故後、列車運行の合間を縫って釧路−札幌間の線路約３５０キロを捜査員が歩き、周辺を捜索したが、見つかっていない。