大飯原発再稼働問題 橋下大阪市長「負けたといえば負けた」
大飯原発の再稼働をめぐり、大阪市の橋下 徹市長が反対姿勢から一転、容認へと変化した裏には、何があったのか。橋本市長は1日、「正直、負けたといえば、負けたと思われても仕方ない」と述べた。
1日午前9時すぎ、橋下市長が報道陣の前に現れた。
これまでの主張を一変し、再稼働を容認した判断について、あらためて聞かれ、橋本市長は「大飯の問題は正直、負けたといえば、負けたというふうに思われても仕方ないし、反対し続けなかったというのは、責任も感じてます」と答えた。
これまで政府が進めていた関西電力大飯原発3号機・4号機の再稼働について、反対の急先鋒(せんぽう)だったのが橋下市長だった。
4月には、民主党政権妥当宣言も飛び出し、その後も、再稼働に積極姿勢を見せる野田内閣を批判し続けていた。
4月13日、橋下市長は「こんな再稼働、絶対許しちゃいけないと思いますね。もしストップかけるんだったら、国民の皆さんが民主党政権を倒すしかないですよ。僕はもう、民主党政権には、反対、反対でいきます」と話していた。
ところが、5月31日になって一転した。
31日、橋下市長は「うわべばっかり言ってもしょうがないんでね、建前論ばっかり言っても。事実上の容認ですよ」と述べ、これまでの反対姿勢を撤回し、あっさりと再稼働を認めた。
その理由について、橋下市長はこの夏、関西エリアがおよそ15%の電力不足に陥る可能性があるとする政府の試算を挙げた。
31日、橋下市長は「15%の不足分が出た。行政の責任者としては、つらいところですよね。この数字は現実問題として」と述べた。
この心変わりについて、政治アナリストの伊藤惇夫氏は、「夏が近づいてくると、いろんな意味で、経済にも人的な部分にも、節電が被害を及ぼす可能性が現実として高まってきた。犠牲が出るようなことがあれば、当然、市長や知事の責任になるので、それを回避するという思いが、そこにあったのかもしれない」と述べた。
1日、橋下市長は「大飯(原発)だけは超例外。これがずるずるいって、大飯(原発)が動き続けることは、絶対に阻止しなければならない」と述べた。
橋下市長は、再稼働を容認したものの、運転は、あくまでもこの夏に限定したものにすべきと主張している。
しかし、枝野経済産業相は1日、「(期限を設けずに再稼働?)期限は13カ月だと思います。再稼働の」と述べ、これまでと同じ13カ月とした。
政府は来週にも、大飯原発の再稼働を決断するとみられている。