国会事故調:福島知事が政府の避難指示批判
毎日新聞 2012年05月29日 21時22分(最終更新 05月30日 07時14分)
国会の東京電力福島原発事故調査委員会(国会事故調、黒川清委員長)は29日、福島市内で福島県の佐藤雄平知事を参考人に招致し、質疑を行った。佐藤知事は、事故直後に県が独自に2キロ圏内に避難指示を出した経緯に触れ「避難指示を報道で知るなど情報伝達に混乱が生じた」と政府の対応を批判。「(政府の)避難指示が20キロ圏内に拡大したのも頭越しだった。自主避難と屋内退避の違いに住民は困惑したと思う」と振り返った。
また、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)の電子メールが県に届きながら削除したことについて、佐藤知事は「情報共有が不十分で、県民に大変な心配をかけおわびしたい。情報が錯綜(さくそう)した組織上の問題」と陳謝した。
一方、国会事故調はこの日の質疑で、福島第1原発3号機でのプルサーマル計画を巡り、東電による同機の耐震性再評価(バックチェック)が妥当かどうか、内容を確認するよう福島県が経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会に求めていたにもかかわらず、経産省側が計画導入の遅れを危ぶんで「保安院だけの確認で済ませたい」と県側に働きかけていた疑いがあることを明らかにした。