流線形の小さな車が、静かな音とともにコースを走る。おもちゃのような、まん丸な形やカラフルなボディーから、子供向けのイベントのように見えるが、徹底した燃料効率を考えた真剣なレースだ。少ない燃料で長距離走行できるかを競う「シェル・エコマラソン・ヨーロッパ2012」が5月16~19日、オランダ南西部の都市ロッテルダムで開かれた。
今年で28回目を迎えるこの大会は、ガソリン燃料や電気、太陽光といったエネルギー別に競い合うレース。欧州23カ国の高校生や大学生ら約160チームがエントリーし、設計段階からエネルギー効率の良い車体やエンジンを自分たちで手がける。コースは急角度のコーナーもあり、車の性能だけでなく、燃料消費を抑えたドライブテクニックが勝敗を左右するという。
ガソリン部門(プロトタイプ)は1リットル当たりで2832.8キロ走行したフランスのマイクロジュール-ラ・ジョリベリエが優勝した。エコマラソンの常連で、チーム関係者は「楽しかった。来年は3000キロを目指したい」と意気込んだ。
■新しい発想と技術生む舞台
シェル・エコマラソンは1977年から開催される省エネカーレースの世界大会。もともとはシェル社内の技術者が燃費効率の優れた車を競い合って作ったことが始まりだという。
ロッテルダムのアホイ・センターを会場に開催された大会はプロトタイプと、より実用的なアーバン・コンセプトのクラスがあり、ガソリンや軽油、バイオ燃料、天然ガス、水素、太陽光発電、電気の7部門に分かれて競い合う。空気抵抗の数値やドライバーの体重などの規定ルールに沿って、車体の軽量化や燃焼効率のエンジン開発など自ら作るのだ。
ヨーロッパ大会が始まった85年のときの走行記録はガソリン1リットル当たり680キロ。それから30年も満たないうちに走行距離を4倍近く伸ばした。ちなみにガソリン1リットル当たりの最長記録は3410キロだ。
自動車工学を学ぶ未来のエンジニアにとってこの大会は、新しい発想と技術を生み出す舞台でもある。
(文・EX編集部、写真・AP)