社説:再稼働と原発の安全 「私の責任」という無責任

毎日新聞 2012年06月01日 02時31分

 第一に事故の検証は終わっていない。国会事故調査委員会による真相解明は遠く、政府の事故調の最終報告は7月だ。大飯再稼働の根拠とする安全基準は経済産業省の原子力安全・保安院が作成した「ストレステスト」が基になっている。保安院は原発の「安全神話」を醸成してきた組織だ。事故時に危機管理能力がなかったことも明らかになっている。

 4月に新組織に移行する予定だったため、現時点での当事者能力にも疑問がある。保安院が「妥当」としたストレステスト結果を追認した内閣府の原子力安全委員会も同様だ。

 各原発のリスクを横並びで比較していないため大飯原発の相対的なリスクもわからない。このまま大飯原発を再稼働すれば、他の原発もなし崩しに再稼働することになるのではないかとの国民の不信は当然だ。

 国際原子力機関(IAEA)は「5層の防護」として、過酷事故対策や、放射能放出に備えた防災対策までを求めている。大飯原発でこの国際基準がどう満たされているのかもよくわからない。

 結局のところ、「原発を動かさないと電力が足りない」という経済原理や不安解消を優先し再稼働を決めようとしている。原発事故前と根本的に何も変わっていない。

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