サッカーW杯:韓日大会10周年、成果と課題は

登録選手数やKリーグのチーム数は増加するも、観客数は減少

指導者の戦略的育成が急務

■W杯が残した残念な結果

 しかしW杯後も韓国サッカーは一つの産業にまでは発展できていない。まず、Kリーグの観客動員数が振るわず、今ではプロ野球人気に完全に押されている。W杯やイングランド・プレミアリーグなどを見て目が肥えてしまったサッカーファンは、Kリーグの試合内容に満足できなくなった。W杯が開催された02年のKリーグ1試合当たりの観客動員数は1万5839人だったが、今年は8067人へと逆に減少している。これは観客数の集計システムが実際の入場者数をカウントする方式に変更されたことももちろん影響しているが、そのことを考慮しても問題は深刻だ。サッカー場にファンを引きつけるために専門家は「見ていて面白いサッカー」「ファンのためのサッカー」を強調する。そのためには、Kリーグの各チームがこれまで以上に計画的な経営を行わねばならない。しかしどのチームも、スター選手を発掘して地元のスターを育成する活動や、サッカー場を訪れるファンに最高のサービスを提供する努力を怠っているため、潜在的なサッカーファンを引き寄せることができないのが実情だ。またKリーグの八百長問題や一部選手の年俸バブルなども、「W杯ベスト4」後の韓国サッカーのマイナス面として表面化した。さらに、サッカー協会内に国際的な渉外活動を担当する専門家が不足していることも大きな問題だ。

 将来的に韓国サッカーをより発展させるため、ユースやそれ以下の幼い選手を中長期的な観点からしっかりと育成できる優れた指導者を求める声も根強い。02年W杯当時は931人だった協会登録指導者は、12年の時点で1556人となり人数的には増えている。しかし指導者の質が向上しているかどうかは疑問だ。02年W杯でヒディンク監督が指揮を執って以降、欧州の進んだシステムも多く取り入れられたが、それをサポートするスタッフは能力の面でまだ不十分だ。またメディカル担当、フィットネス担当、テクニカル担当、戦術担当など、スタッフの役割をより細かく専門的に振り分けるべきとの指摘もある。江原FCでスカウトを担当する李乙容(イ・ウルヨン)氏は「世界のサッカーは今も成長を続けているが、韓国は02年のW杯以降、逆に停滞しているように感じる。練習やトレーニングの内容はサッカー大国と変わらないが、メンタル面をケアできるリーダーがいない」と指摘する。このようにサッカーに関連するさまざまな分野の専門家を育てることも、大きな課題として残っている。

 世宗大学のイ・ヨンス教授は「02年W杯でベスト4に進出できたことは、“われわれも世界一になれる”という自信につながった。10年後の22年にカタールで開催されるW杯では、韓国も優勝候補に挙げられるよう、今から戦略的な計画を打ち立て、それに伴う長期的なアクションプランも同時に検討しながら準備に取り組まねばならない」と述べた。

チョン・ビョンソン記者
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